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“俺がずっと傍にいるよ。”

そう言って顔が近づいてくる。

その日から、私たちは付き合い始めた。
先輩にも言って、おめでとうと言われて、そこから、たっくんが少しずつ変わった。

私自身、中学にあがってから、時々告白されることはあった。
たっくんと一緒にいることが多いと分かった人は、大体諦めてくれるみたいだった。

付き合い始めると、たっくんの独占欲というか、嫉妬心が顕著になった。

“何というか・・・愛されてんね・・・”
“あはは・・・”

先輩の引っ越しの手伝いの日。
先輩が苦笑いする。
私も苦笑いするしかなかった。

“先輩はそういう人いないの?”
“ん?追いかけてくる人?付き合ってる人?”
“え。同じじゃないの?”

“付き合ってる人はいないよ。気になってる人はいるけど。追いかけてくる人は・・・まあ相手は、からかってるだけで本気じゃないから。”

仲良い人ってことかな。

先輩やたっくんとの関係性は変わったけど、幸せなのは変わらなくて。
寂しいけど、年に数回連絡しあって。

高3の進路決めで、たっくんと初めて喧嘩した。

“一緒に上京しよう。”
“私、おばあちゃん1人に出来ないよ。短大行く。”
“じゃあ俺もこっちの大学行く。”
“たっくんは、勉強したいことが、あっちにあるやろ!?”
“Aは俺たちが離れていいって思ってんの!?”
“そんな訳ないやん!遠距離でも時々会いに行けばええやん!”

それから1日口も聞かず連絡もせず。
たっくんから謝ってきた。

私が短大卒業したら、上京して一緒に住むことを条件に、遠距離をする事になった。

毎日電話する。
そう言って、たっくんは毎日電話してきて、月に1〜2回、地元に一泊してから帰る。

就職先を探す時は、面接の時だけ上京して、たっくんの家に泊まった。
卒業しても受からず、たっくんが痺れを切らす。

“おばあちゃんは大丈夫だから、たっくんとこ行っておいで。時々帰ってきてな。”

おばあちゃんに背中を押されて、上京して、たっくんとの同棲が始まった。

たっくんのバイトで稼いだお金とたっくんのご両親の仕送り。
私のバイトで稼いだお金。

同棲を始めてすぐにバイトは決まって、生活費はカツカツじゃなかったけど就職先の面接以外は、ほぼ一日中働いてた事もあった。

“なんでこんなに遅いの。”
“ラビチャしたよ。”
“でも心配するだろ。”

たっくんは優しかった。
昔からずっと。

でも見えていなかった。
何度もチャンスはあったのに。

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作者名:miz | 作成日時:2020年4月15日 21時

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