【アイナナ】この道の先に。 (ページ45)

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２回目に遅くなった日、たっくんが迎えに来てくれた。
いいなと言われて照れて、たっくんも皆に挨拶してくれて。

そういう日が続いた同棲１ヶ月目。

たっくんは、私のバイト先の人ともだいぶ仲良くなって、バイトの男の子が閉店後に、みんなで飲みに行こうかと誘ってきた。
みんな即答で、行く行く！って乗り気。

これだけ付き合ってるのに実は、たっくんと、他の人を交えて一緒に夕食を食べたことはない。
飲みに行くなんて当然したことはなかった。

私は聞いてみるねとバイト仲間に返事をして、帰って聞くと、即答で嫌だと言われた。

“え？嫌？”
“男もいるだろ？飲みに行くのは危ない。やめよう。”
“そんな危ない人たちじゃないよ。付き合いだし。･･･じゃあ食事に変えてもらう？”

“誘ってきたのは誰？”

何だか言ってはいけない気がした。
バイト仲間だとしか答えず、それだけで会話が終わる。

今回は断ろう。
そう思ってた。

３日後から、みんなで飲みに行こうと言ったバイトの男の子が、私を避けるようになった。

“何で？私なんかした？”
“さあ？変だね。”

理由はすぐに分かった。

“Aの彼氏に脅されたんだ。近づくなって。”

“え？”

“あいつ、おかしいよ･･･普通じゃない。彼氏だからって、ここまでしねえだろ。別に気があったり言い寄ってるわけでもないのに。しかも、俺の彼女に浮気してるって言うとか言って･･･してねえのに･･･メチャクチャだよ･･･”

信じられなかった。

脅したという事だけじゃない。

この男の子は私だけを誘った訳じゃないし、発案だという事も私は言ってない。
それに、この男の子に彼女がいる事実は私は知らなかった。

誰かが教えたんだ。
たっくんに。

仲良い人なんていっぱいいる。
犯人探しじゃなくていい。
だって、世間話のレベルだと思う。

それよりも･･･

“ごめんね。キチンと言っとく。”

そう言うと、男の子は心配そうに言った。

“大丈夫か？あの男、やめた方がいいと思うけど。”

“大丈夫だよ。優しい人だから。わかってくれる。”

今思えば、呪文のようだった。

・

そこまで話すと、先輩は深く息を吐いた。

「言った後の反応は？」
『ひたすら謝られた。もうしないって。』

「でも終わらなかったんだよね？」
『そう。そんなに経たない日にね、誰かがそういう目にあうんじゃなくて･･･』

話してる途中に来たツマミと、追加で頼んだ飲み物を飲んで、また先輩に過去を話した。