【アイナナ】この道の先に。 (ページ24)

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『それにしても、かわいいって意外と分かってる人多いって、そういう人が三月くんの周りに沢山いるの？』

ビールを口にしながら聞く。
三月くんもビールを飲んでから笑って言った。

「あいつ意外とモテんだよな。あ、仕事上じゃなくて。まあオレの周りモテる人ばっかだけどさ。」

『ああ、先輩の周りの人はモテそうな人ばかりだよね。地元じゃそういう事なかったけど。･･･三月くんもモテるでしょ？』
「えっ！？オレ！？モテないモテない！」

三月くんが目を見開いて、これでもかって位に首と手を振った。

謙遜にしてはやりすぎ？
だってアイドルなんでしょ？

『料理は出来て、元気で明るくて優しい。顔もかわいい。会ってそんなに経ってないけど、それだけでも十分モテる要素だと思うけど。』

誉めたのに、三月くんは微妙そうな顔をした。

なんで。

「男がかわいいって嬉しくねえだろ。それにモテたって、彼女とか出来るのとは違うしさ。それに彼女が出来たら、ファンの子が悲しむだろ？･･･まあ、それを圧してでも好きな子が出来れば別だけど、相手もオレを好きになるかまでは分かんねえしさ。」

『まあ、そうだよね。付き合っても相性もあるからね。付き合ってみてもうまくいかなかったとかね。』

「･･･Aは前、そうだったのか？」
『え？』

三月くんが心配そうな顔をしてる。
元カレの事を言ってるんだろう。
家ない理由の１つだしな。

『付き合いは長かったよ。中学の時からだから･･･8年位？一緒に住むとね、駄目だったんだ。』

「なっがいな。そんだけ長かったら、なんでもお互い分かってそうだけど･･･」

『彼が大学行くために先に上京して、私が地元で短大だから遠距離だった。その時に私が卒業したら上京して同棲しようって。でも彼が大学生だからそこまで収入ないでしょ？だから私がここでの仕事が決まるまでは上京できないって私言ってて。地元でバイトしながらこっちに来る時に就職活動して。でも、同じ事を上京して同棲した方がいいって説得されて、夏の終わり頃上京してきたの。』

私は白い息を吐きながら夜空を仰いだ。
三月くんの視線を感じるけど、かまわず続けた。

『同棲して少しはうまくいってた。でもバイトとはいえ社会人の私と、大学生の彼とじゃうまくいかなくて。別れて家を出てきた。』

これは、□先輩にも言った事と同じだ。

『まあ、好きだけじゃ駄目な事もあるんだよ。･･･頑張れなかったって言えばそれだけだけど。』