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笑って三月くんを見ると、何でか三月くんの方が傷ついた顔をしてるように見えた。
「好きだったら頑張れるだろ。一生懸命考えて、一番なにが大事か分かっていれば、変わらず頑張れる。･･･簡単にはうまくいくかなんてそれぞれだけど、実を結んだ時は、すっげー気持ちいいんだ！」
なんかキラキラしてる。
でも･･･
『私、元カレとの話してるんだけど･･･』
「あっ！悪い！そうだよな！なんか好きなのに諦めたって言ってるように見えて･･･！昔のオレが重なったっていうか！」
三月くんが口元に手を当てた。
『あはは。好きだったけど、同棲してから変わっちゃったよ。･･･同棲してない頃は好きだったけど。』
三月くんはそれ以上突っ込んで聞いてこなかった。
私と元カレの問題だから。
でも、三月くんは昔、アイドルになりたくてもどこも受からなくて、たくさんオーディション落ちて、それでも諦めずにいて、今があるって事を教えてくれた。
「オレ、ゼロみたいに夢を与えられるアイドルになりたいんだ･･･！」
『ゼロ？』
「あ、そっか。知らねえんだもんな。」
三月くんがゼロについて教えてくれる。
15年前、急に姿を消したアイドル。
たった3年間だけの。
三月くんは物凄く生き生きしてて、終始笑顔で。
『･･･凄いな･･･』
「だろ！？ゼロは凄いんだぜ！」
『違うよ。三月くんだよ。』
「･･･え？」
『やりたいことがあって、それに真っ直ぐ進んでいく強さ。折れても立ち上がって、目指したものに突き進んでいく。凄いことだよ。』
「な、なんか照れるな･･･そんなすげえもんじゃねえって。･･･Aは？やりたいことないのか？」
三月くんに聞かれて、私は･･･と目線を下に落とした。
『私は･･･やりたいことないな。出来る事って目線で仕事も選んでるし、なりたいものもない。別に諦めてるわけじゃないんだけど、普通に働いて、恋愛して結婚して、子供が出来て、可愛がって。そういうありふれた日常が未来にあればいい。･･･恋愛がダメになっちゃってるけど。』
そう言って三月くんを見て笑った。
「なんだ。あるんじゃん。」
『？』
「ありふれた日常なんて、難しいと思うぜ？このご時世、職がなくなったり離婚したり、子供を可愛がれない親がいたり。現にAは彼氏と別れたんだろ？簡単じゃねえよ。少なからず努力した結果、実を結んで欲しいって思ってる証拠だろ。それに･･･」
それに？
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作者名：miz | 作成日時：2020年4月15日 21時
