笑顔のキミが好き 【百】 26 （完結）

ヤス引退の発端　3　〜百side〜 ページ3

「ユキ！おはよう！」
「おはよう。へえ。AへのCM依頼。」
「「わー！！」」

ユキがオレの肩に手を置いたまま、パソコン画面を覗き込む。
慌てておかりんと一緒になって止めるも遅かった。

「で？何を僕に黙ってるって？この事？」

イケメンは怖いカオしてもイケメン･･･

おかりんと目を合わせて、さっき社長と話した事をユキにも話すしかなかった。


ユキは最初反対したけど、全部説明し終える頃には、Aが了承すればと、分かってくれた。

おかりんによると、オファーのあった企業は、簡潔に説明した後でAがエレクトーンを弾いてる動画を見せると、物凄く驚いていて、交代の可能性とバッシングの可能性があったとしても、CMのオファーが増える可能性も大物からの後押しもあればと、興奮しながら契約してくれたらしい。

Aに条件はつけられたものの、ヤス引退の話と、Aと交代発表に向けての根回しが着々と進んでいく。

そんな中での、ユキへのバッシング。
Aが、自分がメンバーだったと言いたいと言ったこと。

引退発表前だから、引退理由がAのせいにされるかも。
でも、交代発表は年末ぎりぎりの予定だったけど、ライブで交代発表をすればいいと思い直していた。

【結局、ユキが反対したんだよな･･･】

2日目のライブを終えて、着替えながらユキを見る。

“元Re:valeが２人共、小鳥遊事務所と関係してるなんて、IDOLiSH7の子たちにまで迷惑かけるかもしれないこと、出来ない”って言ったって聞いた。

ユキは、バンさんやAだけじゃなくて、皆のこと考えてる。

超イケメン。

本当に優しくなっ･･･いやいや、元々優しい人だから！
その矛先が増えただけで！

「モモ。Aの更衣室、行かなくていいの？」
「あ、行く！」

着替え終わって、ユキの言葉にハッとした。

「あんがと！お疲れ様！」

「ああ、また明日。」
「うん！明日、事務所でね！」

ユキに手を振って、Aの更衣室へ行く。
ノックしようとすると、スタッフが、まだ着替え中じゃないかと言った。

【でも･･･多分･･･】

コンコン。

「オレだけど。着替え終わった？･･･返事しなくて良いから、終わってたらノックして。」

ノックされた音がすると、はやる気持ちを抑えながら部屋に入る。
ドアが閉じたと同時に胸にくる衝撃。

「お疲れ様。頑張ったね。」

小刻みに震える体をギュッと抱きしめて、囁いた。

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