笑顔のキミが好き 【百】 26 （完結）

ヤス引退の発端　〜百side〜 ページ1

「社長、そこまでの話は･･･」
「百のことだ。そこまで考えている。･･･いや、わかってて迷ってる、かな。」

社長の言う通りだ。

そのまま交代をしただけじゃ、反感を買う。
守りたいRe:valeやAを、守れない事態にはしたくない。

“AをRe:valeに”

これは、オレのわがままだ。

「･･･オレ･･･Aを妊娠させたかもって思った時、嬉しかったけど、一気に色んなこと考えた。ヤスとAっていう２人分の違約金とか休止とか、公式発表どうするとか･･･１人なら、そこまで思わないとか･･･全部怖くなって、Aも妊娠怖いとか嫌だって思うよなって思って･･･手を出せなくなった。」

ギュッと拳に力を入れた。

「我慢すんのは別にいいんだ。でも･･･今はマシだと思ってるけど、Aは手を出さなくなったオレを変に思う日が来る。理由を言えば、Aは、自分がRe:valeじゃなくなればいいって、辛いのに笑って、ユキとオレだけのRe:valeでいいんだって言う。ここに入る時もそうだった。自分のしたいこと、犠牲にしてまで、ヤスを引退するまで言えちゃうような、強くて優しい人なんだよ。」

記憶では、ユキとオレだけが、AにとってのRe:valeだから、そう決断しちゃうような人だ。

「違約金や休止、それに基づく公式発表は言わなくて良い。もしAが、そこまで考えていたら、その時点で凛人や百に言うだろう。それに、妊娠だけじゃなくて、怪我や体調不良で支障が出ることもある。わかっててやってたことじゃないのか？それにヤスとAの交代を急に思いついただけで、了承は出来ない。」

社長の言うことは正しい。
オレは、思っていても、あまり言ってこなかった。
ヤスじゃないほうがいいとか。

だって、オレとユキが考えて、ヤスって存在を作り出したんだから。

「急にじゃありません。」

おかりんが言った言葉に驚いて顔を上げた。

「急じゃないです。百くんは、いつでも、ステージに立つのは本当はAさんがいいと言っていました。千くんも思ってるでしょうけど、Aさんが被害に合われた事を、目の前で見てきたからこそ、言わないし言えないんだと思います。百くんも千くんも、Aさんの身の安全と、傷つかないように配慮しながら、それでも３人一緒にいれる手段として、仕方なくヤスさんを選んだだけです。」

「おかりん･･･」

おかりんは眼鏡のフチを持って、あげながら、そうですね･･･と言って口を開いた。

ヤス引退の発端　2　〜百side〜→

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