カレーとご飯 〜百side〜 ページ10
ユキとAを残してキッチンへ行く。
【めっっっちゃ可愛かった！！】
頬に集まる熱と表情を隠したくて、両手で顔を覆った。
カッコつけたけど！
ユキがいなかったら襲ってたかもよ！？
ユキがいなかったら！
カッコつけたけど！！
手にキスするまでは別に良かった。
恐怖をどっかに、やってあげたかった。
俯いたAがオレを見た時の、見上げる表情にやられた。
恥ずかしそうに顔を赤らめて、でも怖がってるからか少し目が潤んでて･･･
ジャガイモの芽とか野菜の皮に必死になってるAも可愛くて。
【普段見せない顔って、かなりクる･･････】
そういやユキと住んでた時、初めてAが家に泊まりに来た日も、かなり怖がってたな。
初めてギュッと抱きしめて眠った日。
あれは虫もあったけど。
しっかりしたAが、ここまでダメダメになるギャップにも、やられる。
5年前の出来事を思い出して、懐かしい気持ちになりながらキッチンへ入った。
「あ、ももりん。カレーの材料だって！」
環がジャガイモを持ちながら言った。
「14人分のディナーを用意しましょう！」
「ナギっちは女の子なら生身でも生身じゃなくてもいいの･･･？」
「ジェントルマンの鑑だね！野菜の皮って、煮たら溶けたっけ？剥くのめんどいよね。」
言ってハッとする。
【Aに剥けって言われた！！】
「めんどい。」
「YES。」
「あ、でもさ、俺知ってんぞ。ジャガイモ。皮剥いて、芽を取るんだって。」
「お！そうそう。ヤスもさっき、そんな感じのこと言った！環よく知ってんじゃん。」
「そーちゃんが言ってた。えーと？包丁のここ使って･･･」
言いながら環が包丁を持ってジャガイモの芽を取る。
「よっしゃ。ジャガイモは環に任せて、後はぶった切って、ぶっこんで煮てカレールー入れればカレーになるっしょ！」
「ふふん。ももりん、カレー作りに関しては俺が先輩だかんな。ほら、ナギっち。俺、前にそーちゃんと作ったじゃん。」
環が物凄く誇らしげに言う。
ナギは玉ねぎの皮を、オレは人参の皮をピーラーで剥いた。
「OH、デビュー前のバーベキューですね？」
「そうそう。Aっちが途中参加したやつ。あん時、そーちゃんが怖かったって俺言ったのに誰も信じてくんなくて、Aっちだけが信じてくれたんだよな。めっちゃ嬉しかった。」
「壮五？怖いの？」
キョトンとしながら聞くと、環の手が止まった。
カレーとご飯 2 〜百side〜→←オフタイム(恐怖からの避難) 2
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 404人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：miz | 作成日時：2019年8月4日 7時
