笑顔のキミが好き【if･･･大神万理】2 (ページ48)

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「まぁいいよ。で？何人？」

『万にお願いするのは１人。結構夜だと思う。でも11階からじゃ、誰が出たとか何人出たとか分からないから、昼夜使える双眼鏡とか買うべきかなあ･･･』

「双眼鏡･･･」

部屋から寮を双眼鏡で見張るのか？
ストーカー行為みたいじゃないか。

思わず頬が引きつった。

まぁ、Aの窓からは他のマンションとか近くに見えるわけじゃないし、遮るものがないからセーフか？

「分かった。じゃあ気付いたらすぐ電話して。夜中だな？」

『うん。じゃあ連絡する。次の日に、つむちゃんから知る予定だけど、知らないフリ宜しく。』

「･･･分かった。後は･･･百くんがAの家で見張り？」

『うん。多分、寮の周りをうろちょろするんだと思うんだよね。車だとしても、ちょっと危険じゃない？』

Aが言って食べながら、俺をジッと見る。

いつもなら、勝手に泊まらせたり見張らせたりするだろうに。

･･･そうか。
俺が、簡単に泊まらせるなと言ったのを気にしてくれてるのかな。

『だめ？』

少し眉を下げて悲しそうに俺を見るA。

【そんな顔されたら･･･】

ずるいなぁ･･･

「いいよ。百くんは信用してるから。」

微笑んで言うと、Aの表情が、パッと輝く。

『ありがとう！』

「どういたしまして。」

喜ばれるのも少し複雑な気分だよな。
でも百くんなら、Aが困ることはしないだろうし。
千なら、ここぞとばかりに迫りそうだから絶対ダメだけど。

「その話したくて食事に誘ったの？」

『ああ･･･うん。だって、万も忙しいし、個室じゃないと話せない話でしょ？』

「まあな。･･･電話でもよかった事じゃない？」

【ちょっとこの聞き方は意地悪かな？】

でも、聞きたい。
会いたかったって。

「すぐ済んだ話だよね？」

Aが箸を止めて俺を睨む。
顔は赤い。

あ、ダメだな。
笑ってしまいそう。
かわいい。
というか、同じ気持ちで嬉しい。

『･･････意地悪なお兄さんですね。』

グサッと突き刺さる。
敬語な上に、お兄さん。

照れてるだけなのは分かってるけど。

席を立って、Aの横に座る。
顔を見ようとすると逸らされた。

「かわいい子は、いじめたくなるもんじゃない？」
『小学生男子か。』
「さっきお兄さんって言ったのに。･･･素直に言ってくれると俺は嬉しいんだけど？」
『何を。』

「分かってるだろ？」
『言わなきゃわかりません。』

息を吐いて、自分の席に戻った。