認めなよ。 2 ページ38
謝るのは、こっちなんだけど。
後で電話しよう。
今から病院内の日常風景を撮るから病院に行く。
ヤマさんは別の日に撮ったらしい。
【明るいとは言っても夜の病院って怖いよね。】
移動してすぐに撮影を終えると、おかりんが千の家に送ってくれた。
車内でヤスのメイクをする。
そう言えば、千が首絞められるの今日だよね、多分。
首に痕までつく位は、嫌だな。
間に合うかな。
助けたい。
千も。
ヤマさんも。
【千の言いすぎによる、ヤマさんの悪役のスイッチ･･･】
ずっと役のことを考えすぎてるせいか、ヤマさんは役に憑かれたようになってるから、自分と重なって、ああいう行動に出たんだと思うけど。
日常生活で、役に憑かれるのは勘弁したい。
役そのものを演じてるはずなのに、私だって時々撮影後も自分じゃなくなるみたいな事はあるけど、ヤス程ではない。
ヤスは、もうほぼ自分になってるのが問題だよね。
最近、クール、どっか行ってる。
反応がかわいいはともかく、爽やかとか親近感とか。
周りが言ってくる“A”のイメージだ。
かろうじてヤスにあって私にないのは色気。
【百は、私にもあるって言うけど、それは付き合ってるからでしょ。】
ヤスを演じるのがよく分かんなくなってるのって、NEXT Re:valeの時に一番不便。
感情が顔に大きく出ないようにする位が、精一杯。
あとはちょっと冷たい物言いをするように心がけてると言う感じ。
なんとかしないとボロが出てからじゃ遅いな〜･･･
「着きましたよ。お疲れ様です、ヤスさん。」
『ありがとう。お疲れ様、おかりん。また明日。』
「程々に無理しないように頑張って下さいね？」
『うん。千にも言っておく。』
お互いにお休みと言って、千のマンションに入る。
部屋番号を押してインターホンを押すと、合鍵で入ってきてと言われた。
持ってるけど。
まあいいか。
ていうか、まだヤマさんと話してないのかな？
ご飯作ってる最中？
いや、仕込みはしたって言ってたよね？
少なくとも、千とヤマさんと別れて1時間半位経ってる。
言い合いが終わってるとか？
それならそれで、どうしようもないけど。
そう思いながら玄関を開けると、話し声が聞こえた。
内容まではハッキリ聞こえない。
でもヤマさんの声だ。
急いで鍵をかけて靴を脱ぐ。
リビングのドアを開ける前に内容がハッキリ聞こえた。
「あんたが黙れば安心して眠れる！安心して好きでいられる･･･ッ」
「や･･･、･･･ッ」
【！！】
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作者名：miz | 作成日時：2019年5月16日 5時
