笑顔のキミが好き 【百】 13

爽やかなヤス　2 ページ26

CM撮影は順調で、髪をおろして清楚なイメージの長いワンピースを着て海に足を入れた。

【冷たい･･･。】

でも気持ちいい。

「そのまま、少し歩いて、カメラを振り返って笑顔下さい！」

【笑顔！？】

不安になって、おかりんを見ると、口パクで何か言ってる。

分からん！

おかりんが周りに断って私の方へ来た。

『笑顔って？どの程度OKなの！？』
「化粧ポーチ持ってきました。とりあえず少しずつ笑ってみて下さい。」

『ええ！？』

まず微笑み。
そこから少しずつ表情を作っていくと、だんだん可笑しくなってきた。

【駄目だ。本気で笑っちゃう。】

「あ、そこまではダメです！その一歩手前で！」

『あはは！おかりん、難しいこと言う〜！無茶だよ〜。』

「ああぁぁぁ･･･ヤスさん、メイク･･･」

「ヤスさんが声あげて笑ってる･･･」
「初めて見た。」
「え？すっごい、いいね。」
「ちょっとだけ回して。」

そんな事になっているとも知らず、メイクを直して撮影を開始した。

口は笑ってOK。
目は微笑みより少しだけ。

【めっちゃ難しい！修行が必要だわ！】

案の定ＮＧを貰って、取り直し。
結局３回ＮＧ貰って、4回目にOKを貰った。

カメラチェック。

帽子を後手に持って、海で足をチャプチャプ。
カメラに気づいて微笑みを見せて、帽子を被りながら少し笑う。
砂浜に上がって、手をカメラに向かって差し出す。

【へー。こんな風に笑ってるんだ。】

意外と笑えてる。

15秒は微笑みか、笑う所で切って、30秒は全部使うとのこと。

『ありがとうございました。お疲れ様でした！』

午後からは車のCM。

CMプロデューサー「アテレコは近くのスタジオ予約してます。まずは車を走らせましょう！」

『百と千が交代で運転するの？私は後ろ？』

プ「いえ、ヤスさんには助手席でお２人をカメラで撮って貰います。運転席側にもカメラをつけて、ドライブデートを演出しましょう。」

「「『ワゴンなのに？』」」

プ「後ろに物がたくさん置けるので、アウトドア用品を乗せます。走らせるバージョンの後、後ろで読書だったりお茶だったりを撮って、最後にアテレコしましょう。後はこちらで編集して仕上げます。」

百「へぇ、面白そう！よし！さくっと撮って、良いもの作っちゃおう！」

百と千とそれぞれ15分程度のドライブをした後、次々NGも出ずに、とんとん拍子に進む。

アテレコをする時が一番テンションがあがった。

爽やかなヤス　3→←爽やかなヤス

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す