9話 頭が追いつかない ページ10
「え、Aちゃんどういう事?」
「どうもこうもこういう事です」
「え?夜兎族のハーフなの?え?」
「母が夜兎族で父が地球人なんです」
客間室に連れてこられ、三人を目の前にして私一人で対面している形になっている
父の姓を貰おうとその案も出たようなのだが母は名だけでいいと粘っていたので名だけになったそう
近藤さんが先程から有り得ないと言わんばかりの目で此方を見てくる
「だからおめェ、やられ状況の中だってのに笑ってやがったんですねィ。戦闘を好む種族ってのは知ってやしたが」
「単純に強い人と戦うのは楽しかったんでつい」
あはは、と乾いた笑みを零すと沖田さんが一瞬だけ目を見開いたが直ぐに元のポーカーフェイスに戻った
「…そうですかィ」
「いやぁ〜それにしてもAちゃんが総悟と互角にやり合うなんざ夜兎族のハーフって聞いて納得いくよ」
「純血の夜兎族の血じゃないので治癒力とか体力は半分に欠けるんですよね」
「ヘえ」
__ッピュッ!
「え」
左頬の真ん中ら辺に何かじわじわと温かいものが中から溢れ出ている感触がする
何かと触ってみれば自分の頬から流れでている真っ赤な血。
そして後ろの方を振り返ってみてみると、何故かそこに突き刺さっているのは刀。それも沖田さんがいつの間にか立ち上がっている
「そ、総悟ォォォォ!?」
「おいいいい!!お前いきなり何してんの!?」
「え、あ、え?」
今の出来事に驚いた近藤さんと土方さんが沖田さんをギョッとして見やった
今一瞬何が起きたのか分からなかった私は、頭の中でこんがらがった出来事に瞬時に整理する
投げられた。沖田さんの刀を。沖田さんの刀が後ろの壁に突き刺さっているのはそういう事だろう
「…本当だ。純血の夜兎ならこんなかすり傷一瞬で治りやすがねェ」
「え、その為だけに今投げたんですか?」
「そうでィ」
「さ、サディスティック…」
「あれ、怒らねえんですかィ」
「そりゃ怒ってますよ!…ですけど今は近藤さんと土方さんがいるので」
「………そーかよ」
じゃあ俺はもう帰りまさァ、と立ち上がって先程突き刺した刀を抜き、客間室を出ていく沖田さん
おいどこに行くんだ総悟!と土方さんが制止するがその声も無視して襖を閉めて行った
出ていく時に一瞬だけ睨まれたような気がするのは気の所為だろうか。
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作者名:みずみや。 | 作成日時:2018年12月9日 22時