お守りします。【沖田総悟】 (ページ14)

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13話自販機の下で目にした奴ページ14

町にくり出したものはいいものの、これは真選組に帰る道を忘れないように覚えておかなくてはならない。

頭に自分が今歩いている江戸の町をインプットしながら、所々でているお店をつらつらと見ていく

そこには綺麗な簪が売っていたり甘味所だったりラーメン屋さんもあったりしていて。

今度お休みを貰った時はゆっくりと一箇所ずつ食べていこうかな、なんて考えていると

「あっーくそ…！もうちょいなのに…！」

「…え」

何やら自動販売機の下でモゾモゾと動いている人が一人。

何だ何だと彼の周りにガヤガヤと通りすがりに蔑んだ目で見ている人が大半。

自販機の下に何やら手を伸ばして何かをしているらしい

「あの…大丈夫ですか」

「ああ？なんだ姉ちゃん、見てわかるだろ俺ァ今忙しいんだよ」

そのまま見て知らん振りして通りすがっていく性格ではないので、考えるよりも行動が先に出てしまっていた

「何か自販機の下にあるんですか？」

「俺の大事な三百円を、下に落としちまったんだよ…っくそ！届かねえ！」

「分かりました、じゃあちょっと避けてもらっていいですか」

「は？何言って」

「ふっ…ぬぅうう！！」

両手でガッシリと掴み、グゴゴゴと異常な音をあげながら自動販売機を持ち上げた

その周りにいた観衆達が悲鳴だったり驚きの声を忽ち上げる

夜兎族のハーフといえど自動販売機の重さは容易いもんだ。

ドスン、と鈍い音を立て自動販売機を隣に置き、下に屈んでいた彼の顔がようやく見えた

パーマがかかった銀髪の髪に紅い目。だけどその真っ赤な目はよくよく見ると沖田さんと同じ紅。

綺麗な紅色だと思ったのはまた事実でもある

その目には驚きが含んだ瞳孔が開いたまま私を見やり、有り得んとばかりに口をパクパクとさせている

「えっ？えっ？ええェェエエ工！？」

「はい、これで大丈夫ですよ。三百円どうぞ」

「エッ？あ、ああ…ありがとう」

「じゃあ戻しますよー…ふんッッ、ぬ！」

隣に置いた自動販売機を元の場所に戻し、パンパンと手を叩きながら砂埃を払った

周りからは何故かパチパチと拍手喝采がおきている

…我ながら初の人助け仕事をしたのではないかと思う

「ね、姉ちゃん…あんた何者だ…？」

「えっと、今さっきしんせ…」

彼の姿をもう一度目にした瞬間、あるものが目に入った

「あ、貴方もしかして侍ですか！？」

彼の左腰に差していた木刀が。目に入ったのだ。