大人の色気6 ページ15
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零さんは一瞬、考えるそぶりをした。
が、次の瞬間
「わっ」
「それを着てください。そんなに肩を出していたら寒いでしょう」
いきなりぶっきらぼうに被されたのは、零さんのジャケットだった。
「あ、ありがとう……」
やっぱり似合ってないのか…色気なんて私にはまだ早すぎたんだ。身の程を知ったほうがいい。
安室さんの口調に変わった零さんは、私に背を向けたまま、
「送ります」
と言った。
降谷side
車のミラー越しに目をやると、ぶかぶかのジャケットを着たAが俯いている。
(似合いすぎてて辛い……)
寒いからでもなんでもない。
他の奴には見せたくないと思ったから、ジャケットを着せた。
正直、Aがベルモットに色気の出し方を頼んだのも、僕の為だという事も分かっている。
ベルモットはAを気に入ったから良かったものの、もし取り返しのつかないことになったとしたら……
僕はさっきみたいに見ていることしかできず、公安として、潜入捜査官としての仕事をAよりも優先するのか……?
今はその考えが頭を交差して、Aに似合ってるの言葉もかけてやれなかった。
しかもAが可愛すぎて不意打ちくらって、急に安室の言葉使いになるし……
ミラー越しにキラッと光る物を感じ、見ると、俯いてるAの目には大粒の涙が溜まっていた。
「え…」
突然のことに思わず声が漏れてしまった。
Aは、僕の目線に気付いて、焦った様子で目をこすった。
「A……僕は」
「ごめんなさい、なんでもないの」
無理矢理作ったAの笑顔を見て、僕は、いてもたってもいられなくなった。
走っている道の左側にある駐車場に車をとめる。
「え…ここどこですか?家じゃないんですか?」
Aが焦って辺りを見回す。
僕は、安室じゃない口調で、後部座席のAに言う。
「……似合ってる」
「へ……?」
「だからその…ドレス……似合ってる」
Aは驚いて、目をパチパチさせた。のも束の間、
「嬉しい……」
透明な涙で目を潤ませた。
「こんな言い方しか出来なくて、ごめん……Aを守れなくてごめん」
僕がそう言うと、Aは思い切り僕の頬を掴んだ。
「うわっ……」
うろたえる僕にAは「いーい?」と今にも怒り出しそうな顔で言った。
「零さんに守ってもらおうなんて、これっぽっちも思ってませんからっ!!」
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曇天に笑う - じゃあいいや誘わなかったら良かったですね! (2019年5月19日 23時) (レス) id: 96967fede0 (このIDを非表示/違反報告)
みずきち(プロフ) - 曇天に笑うさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!合作をしたことがなく、やってみたい気持ちは山々ですが、私生活が忙しくて、この作品でも精一杯なので、やったとしても迷惑をかけてしまうと思います。なので申し訳ないですが、今回はお断りさせていただきます。すみません (2019年5月12日 23時) (レス) id: 0505c061d5 (このIDを非表示/違反報告)
曇天に笑う - みずきちさん» よかったら合作しませんか? (2019年5月12日 17時) (レス) id: 96967fede0 (このIDを非表示/違反報告)
みずきち(プロフ) - えれちょむさん» えれちょむさん〜とっても嬉しいコメントありがとうございます!!ベルモットいいですよねえ!つい書いていて夢中になっちゃいます笑応援ありがとうございます!これからも頑張りますね!! (2019年5月4日 21時) (レス) id: 0505c061d5 (このIDを非表示/違反報告)
えれちょむ(プロフ) - ピュアな感じで読んでて微笑ましいお話です、(なんか上から目線ですいません)ベルモットが個人的に好きで、出てきたことに興奮しておりますー!続きも気になります、更新頑張ってくださいね (2019年5月4日 17時) (レス) id: e7dac9cba1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みいみい | 作成日時:2019年5月1日 23時