年下の君と僕【安室透】

大人の色気5 ページ14

「ここで着替えちゃいなさいよ」
ベルがそういうので、お店の試着室で買った物を全部身につけた。

(わ、、)

鏡に写った私は、別人のようだった。

「cute！！似合ってるし色気もあるわよ！」

ワンピースが結構際どいので恥ずかしい気持ちもあるけど、せっかくベルが選んでくれたんだし、
ファイトだわたし！

店を出ると、路地で零さんの車が待っていた。

「またせたわね、バーボン」
「大丈夫ですけど、まさか移動のためだけに僕を呼び出した訳じゃじゃありませんよね？」
「そんな事するわけないでしょ。A、先に車に乗っていて。私はバーボンに話があるから」

零さんが私を見てどんな反応をするのかが気になったけど、零さんは一度もこっちを見なかった。

軽率な行動ばっかりの馬鹿な奴だって呆れられたかな、、、

ベルと零さんはきっと仕事の話をしているんだろう。
二人の会話は聞こえないけど、窓越しに見える二人は本当にお似合いだった。

私がじっと見ていると、ベルが零さんの耳元で何かをつぶやいた。
それを聞いた零さんは、一瞬大きく目を見張り、何故かみるみる顔が赤くなっていく。

ベルはその様子を見て満足そうに笑うと、私に窓ガラスを開けるようにジェスチャーをした。

窓を開けると、ベルが私の手をギュッと握って言う。
「A、今日はありがとう。とっても楽しかったわ。私はまだ用事があるから残るけれど、
バーボンに貴方の家まで送らせるから」

「こちらこそ本当にありがとうございました。感謝しかないです。
私にできることがあれば、なんでもするので！」

「ええ、ありがとう」

ベルは私の手に軽くキスを残して
「また会いましょうね、可愛いA」
と言って去って行った。

本当に可愛くて良い人だったな。



、、、零さんはさっき何を言われたんだろ。

ん？あれ、ベルがいないってことは、わたし、零さんとふたりっきりじゃ、、？！


「ガチャ」

無表情で車に乗ってきた零さんは、
ドキドキしている私をよそに、車の隅々を何故だか確認し始めた。

思わず声をかけようとするが、

「れいさ、、っ！！！」

いきなり開こうとした口を大きな手で塞がれた。

「しーーーっ」

人差し指を立てた零さんは、車を一通り探し終えると

「もう喋っていいぞ」

と言った。

「っはぁ、、」

さっきまで口を塞がれていたので呼吸が荒くなる。

「悪い。盗聴器がないか確認してたんだ」

そう言うと、零さんは私のことをまじまじと見つめた。

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