37.訳が分からない ページ39
「帰らへんで〜寂しいやん…」
「ちょっと…離してくださいー!」
「や〜だ〜」
「もう!浦田先輩を呼んで叱ってもらいますよ!!」
「………………」
あれ?黙った?浦田先輩を呼ぶ作戦、けっこう有効?
そう思い振り向くと、さかたんの顔が私の目の前にあった。
ドクン と、心臓が跳ね上がる。
「A…は、うらさんが…ええの?」
「え?」
「いやや…うらさんやなくて、俺を…俺だけを、見てほしい…」
喉から絞り出しているような声でそう言いながら、さかたんは私に近づいてくる。
1歩ずつさかたんが前に出ると、私は思わず後ろに下がる。そして、私の背中に壁が当たった。
「A、うらさんに抱きしめられたんやろ?うらさんから聞いた」
「いや、あれは事故で…んっ」
さかたんが言うことの弁解をしようとすると私の口をさかたんの口が塞ぐ。
….え!?ちょ、ちょっと待って…!
「んんっ……さか……んぅ…」
苦しい。息が出来ない。角度を変えながら何回も唇を重ねてくるキスは、私には刺激が強すぎる。
やめて欲しくてさかたんの胸板を叩くとゆっくりと唇を離してくれた。
でも彼の体は全く離れない。
「A、俺のものになって…うらさんでも天月くんでも、そらるさんでもまふまふでもない。俺だけ…」
悲しそうにそう言いながら、さかたんは壁に手を置いて私の逃げ道を完全に塞いだ。
彼は、行動と言葉に戸惑っていた私に、また近づいて唇を重ねようとする。
私は反射的に「いやっ…!」と言って抵抗するが、簡単に押さえつけられてしまう。
そして、また、甘いキスをされる。
「んん…!さ…かた…さっ…や、め…」
「んっ…うる、さい…」
さっきよりも激しめにキスをされ、少し怒ったような声音で私の言葉が拒まれる。
彼の深いキスに、自分が食べられてしまいそうになり、立ってられなくなってくる。
「A…ほんまかわええ…なあ、このまま、無理矢理にでもお前を俺のものにしたい」
「え…」
なんだか、とんでもないことを言われている気がし、言葉が出てこなくなる。
「…襲ってもええ?」
そう言う彼の声音と、狼のような目にゾッとしてしまう。
「いっ…いい加減にしてください!!」
もう訳が分からなくなり、気づいたら大声をあげて、さかたんを突き飛ばしていた。
突然の事で驚いたのか、さかたんは尻もちをついて私を見上げている。
「こんなことする坂田さんなんて…私、好きじゃありません!!」
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作者名:みずドラ | 作成日時:2018年6月16日 0時