微睡み ページ1
9歳か10歳かそれは今となってはどうでもいい事だが、幼い頃の私はその時、母に連れられて銀行の支店のソファーに腰を下ろしていた。
これが全ての始まりだったのかもしれない。
母は銀行員の小綺麗な女性から封筒の中に入った分厚い何かを受け取っていた。それは幼い私でも理解するのは容易だった。＿＿＿＿金だ。それも随分と多い。普段であれば銀行に連れられることなどなかったので、何故その状況下に置かれているのか、その時の私には分かるはずもなかった。
｢さぁ、行こうか｣
母のその声が聞こえた時。小さな銀行に割れんとばかりの怒号が飛んできた。
｢お前らｯ！動くなｯ！銀行員はここに入れられるだけ金を詰めろｯｯ！少しでも余計なことしたらこの女を撃つぞｯｯ！｣
世に言う強盗。それも刑事ドラマで出てくるような典型的な強盗。黒で統一された服、ニット帽、大きめのボストンバック。それと黒光りする拳銃。
そして、その銃口は確かに私の母に向けられていた。驚いた母は腰を抜かし、鞄の中にあった書類や荷物をぶちまけていた。母が殺される、その事実が頭に入った時体は勝手に動いていた。
｢やめてｯ！｣
｢ｸｿｯ何しやがるｯｯ｣
本当に愚かな行動だったと思う。こんなことをしていなければ、きっと今の私は変わっているはず。
強盗の手に噛み付いたところ、強盗は驚いた様子で私を振り払おうとした。
殴られて、蹴られて、それでも離すことなく噛み付いた。だが、大人のましてや成人男性の力に敵うわけもなく。雑に振り払われた私はカウンターの壁に頭をぶつけて、そのひどい痛みに悶えるしかなかった。
｢随分と酷いことしてくれるじゃねぇか｣
｢ぅ…あ"…ぅぅ"｣
｢おい、クソガキ立て、そんでこれを持て｣
銃口を突きつけながら命令されるので、恐怖に駆られながら恐る恐る立った。そしてその強盗は、私に一丁の銃を渡してきた。
グリップには3つの矢が打刻されたエンブレム、私は後にそれがバレッタM92と呼称されていることを知る。当時の私は命令されるがままに銃を持った。
｢お前、死にたくねぇよな？｣
｢…は、はい｣
｢なら、お前の母親を殺せ｣
｢い…｣
嫌です。そう言おうとしてる時だった。先程母がぶちまけた荷物の中にある書類が目に留まる。そこには養子縁組同意書と記されていた。同意書の内容はよくわからなかったが、養子縁組という内容はテレビで耳にした事があった。その時に悟った。私は捨てられるのだと。
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雪@そらなー - 鵠さん» 作ったよ〜！裏切り+愛=呪いで検索かけたら出ると思う！ (2018年12月12日 20時) (
レス) id: a70a7db5f1 (このIDを非表示/違反報告)
鵠(プロフ) - 相澤雪さん» ありがとう！もし作ったら教えてね (2018年12月7日 22時) (レス) id: c75e48906d (このIDを非表示/違反報告)
相澤雪 - めちゃめちゃ参考になった！更新頑張って！！ (2018年12月7日 15時) (レス) id: a70a7db5f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鵠 | 作成日時：2018年12月3日 22時
