貴方の幸せを願う【ハリーポッター】 (ページ29)

今日:3 hit、昨日:13 hit、合計:76,326 hit

28 ページ29

一瞬でクラスが静まりかえる。
　
　教室中に重苦しい空気が流れていたがそんな中私だけがはしゃいでいた。

　教授は私が一番前にいるのを見て眉をひそめたが、見なかったことにしよう。

　他の先生と同じく、教授もまず出席を取った。本の中の世界が目の前にある。何回体験してもなれないものだ。

　そして、ハリーの名前でちょっと止まった。

　セ「あぁ…さようハリー・ポッター。われらが新しい―スターだ」

　原作通りスリザリン生に冷やかし笑いされているハリーを少しだけ振り返ると、「どうにかしてくれ」と視線だけで訴えられたが私ではどうしようもない。

　驚いたことに教授は私の名前でも止まった。

　セ「A・ドルデンベルグ。今日は珍しいことに寝ていないようだが…明日は槍でも降るのかね？」

　ハリーと同様、猫なで声で言われて少し驚いた。ドラコたちがクスクス笑っているのが横目に見えたが気にしないことにする。

『そうですね、スネイプ教授の魔法薬学が楽しみだったので！』

「教授」の部分を強調し笑顔で告げた。実際、楽しみにしていたので嘘ではない。教室中の視線が突き刺さるのが分かる。

　教授は冷たく、うつろで、暗いトンネルを連想させる目でこちらを睨みつけた。

セ「貴様ほど目立ちたがり屋な学生を我輩は知らない」

『おほめ頂きありがとうございます。でも私、教授の質問に対して答えただけで決して目立ちたがりではないですよ？』

堂々と言い放った私を隣で座るハーマイオニーが心配そうな顔でこちらを見る。スリザリン生でさえ息を殺して成り行きを見守っていた。

　教授は顔を歪ませ、歯をむき出しにしながら怒鳴った。

　セ「今度吾輩の授業中にふざけた態度をとってみろ。その瞬間お前を退学にしてやる！
　グリフィンドール、15点減点だ！」

『あら残念』

微塵も残念と思ってなさそうに笑う。

退学にはされたくないのでこれ以上口を開くのはやめた。

相変わらず怖い顔をしながら教壇に戻った教授は例の大演説を始めた。

これから起こる一部始終を知っている私は黙って事を見守ることにした。