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『ほんとすいませんでした…』
「最初は皆ああなる。気にするな」
そういって彼はツカツカと目的地に向かって歩き出した。
人は多いし教授のほうが圧倒的に足長いので私はすぐに人混みに流される。
そんな私を見るとスネイプ教授はぐっと眉間にしわを寄せ、先ほどのように腕を突き出してきた。
「摑まれ。ここで迷子になられたら困る」
そういわれたら摑まるしかない。ぎゅっと腕を掴むと歩き出した。わざわざ私の歩幅に合わせて歩いてくれている。
ほんと、不器用だけど優しいんだな、この人は。
教授の腕を掴みながら考えた。命あるものいつかは必ず終わりが来る。だが、あんな形でこの人を死なせたくない。絶対に。
幸いなことにこれから起こることを私はすべて知っている。だったら私がやることは1つ。教授が死なないように立ち回る。
たとえ自分が教授の幸せな姿が見れないとしても。私はこの人の幸せを願う。
ふと、教授が立ち止まった。顔を上げると、マダムマルキンの洋装店 普段着から式服まで と書かれた看板があった。
掴んでいた腕をはなし、恐る恐る店内に入る。
中から藤色ずくめの服を着た、愛想のよい、ずんぐりとした魔女が出てきた。
「この小娘の制服を頼みます」
教授はそういうと私をマダムのほうに押し付けるかのように背中を押してきたので私は危うくこけるところだった。
『ちょっと！あぶないですって！』
抗議するように教授の顔を見るとにたり、と性格の悪い笑みを浮かべていた。きっとハリーいじりするときもこんな顔してるんだろうなこの人。
「吾輩は用事がある。採寸が終わるころには戻る」
そういうと彼は足早に店を出て人混みの中に消えていった。
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作者名：坂本 | 作成日時：2023年3月8日 0時
