約束。2【及川徹】 (ページ44)

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針、94本。ページ44

「それにしても寒いねぇ…」

放課後になってすぐ、私たち3人は白鳥沢へ。今日からは宿泊だ。
どうやら私の部屋も用意されているらしい…。

12月も終わりに近づいてきて、着込んでも着込んでも外に出ると凍え死にそうになる。

「おっと、」

「大丈夫ですか？！」

「ごめんごめん、ぶつかっちゃった」

凍りかけた路面と脚のせいでよろける。横にいた金田一にぶつかってしまった。
咄嗟に支えてくれたおかげで転ばずに済んだ…。

「…痛みますか？」

「寒くなるとちょっとだけね。でも平気」

「俺のジャージも履きます？」

「うーん、気持ちは有難いけど遠慮しとくわ」

珍しく気を遣ってくれる国見。だけどジャージ2枚重ね着したらもっこもこになるよ…。

さっきよりも足元に注視しながら歩を進める。

「次は転ぶ前に言ってください」

「未来予知でもしろってか」

「怪我されたら及川さんに合わせる顔がないんで」

「…過保護な親かあいつは」

「実際そういうところだけは過保護じゃないですか」

「大丈夫って言ってるのになぁ…」

この寒い時期、及川はいつも以上に私の心配をしてくる。

ほんとに過保護な親。雪が積もってる時はもちろんのこと、路面凍結の注意報が出ている時も、そうじゃなくてもこの時期はピリピリしてる。

近所のコンビニに行く時でさえ目敏く着いてく、なんてわざわざ一緒に出てくるんだ。
幼稚園児か、私は。

ぎゅっぎゅっと1歩ずつ踏みしめながら進む中での、一瞬の気の緩み。

「…うわッ？！」

「は？！」

「えっ？！」

黒い雲が、私の視界いっぱいに広がった。