諏訪くんは普通じゃない２

50話｢改めまして｣ ページ12

翌日､朝のホームルームが始まる前に､１時間目準備をしていると､扉の方から｢A！｣と声がした｡

声の方を向くと､深空が息を乱しながら立っていた｡慌てて駆け寄り､


｢どうしたの､深空｣


深 ｢あの､ごめんねっ！弟が迷惑かけたみたいでっ､私晴くんに聞いてびっくりしちゃって･･･あっ晴くんていうのはね､弟の友達で幼なじみでもあるんだけどっ｣


｢わ､分かったから｡大丈夫だよ｡お姉ちゃん思いのいい弟くんだね｣


深 ｢そうなの｡本当は優しいんだけど､ちょっと不器用で･･･｣


｢そうなんだ｣



ちょっと･･･？とは思ったけど､頬を緩める深空がかわいかったので黙っておいた｡

深空によると､弟くんたちは２歳年下の高校１年生で､二人とも少し先にある男子校に通っているらしい｡その高校は転校してきてすぐに噂で聞いたのだが､所謂"ヤバい"高校だと有名で､暴力事件が度々起こり､警察の出入りはしょっちゅうだとか｡

こういってはひどいかもしれないけど､陸太くんは分かるが晴くんまで？と思っていると､深空がため息をついた｡


深 ｢陸太のために晴くんまで同じ高校に入っちゃって･･･晴くんには本当に申し訳ないと思ってるの｣


｢あ･･･なるほど｣


思わず零れた言葉にハッと口を塞いだが､どうやら深空には聞こえていないようで､ため息をつき続けていた｡


晴くんは陸太くんのお目つけ役って感じなのか･･･確かに昨日もそんな感じしたしね･･･


諏 ｢高木か､珍しいな､おはよう｣


一人で納得していると､深空の頭上から中低音の声が降ってきた｡


諏 ｢二ノ瀬もおはよう｣


｢おはよう｣


深 ｢あっ諏訪くん！諏訪くんもごめんねっ､頭大丈夫？｣


｢深空､その言い方はやめておこうか｣


諏 ｢頭･･･？ああ､弟のことか｡全然大丈夫だ｣



本当に何でもないように諏訪くんは首を振り､それを見て安心したらしい深空は､何度も謝罪を繰り返しながら自分のクラスに戻っていった｡


諏訪くんと席につき､昨日の話をしながらホームルームが始まるのを待っていると､｢にのっちーっ！！｣という声と共に､椅子がガタッと傾いた｡


｢危なっ･･･おはよう､奈津｣


奈 ｢ごめ､勢い良すぎたか？おっはよ｣


諏 ｢そうだ磯野､二ノ瀬が怪我でもしたらどうすりゅ｣


奈 ｢大事なとこで噛んでんじゃねーよ諏訪｡じゃなくてな､二人に相談があって｣


｢相談？｣


奈 ｢ああ､




──･･･宮古の女関係を調べてくれないか｣

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