22話「完結、ではなく」 ページ23
「あ・・・」
諏訪くんが、制服姿で目の前に立っていた。
諏 「悪い、待ったか」
「い、いや?大丈夫・・・」
やっぱり気まずくて、思わず目を逸らす。
直後、ふっと息を吐く音がして、頭に固い何かが乗せられた。
諏 「大丈夫だ、すぐ帰るから。急に来て悪かった。これ、返す」
頭に手を伸ばし、スマホを受けとる。
ゆっくり顔を上げて、諏訪くんにお礼を言う。
「あり、がとう」
諏 「・・・いや。じゃあな、二ノ瀬」
くるりと背を向け、諏訪くんが改札に向かっていく。
「あ・・・」
教室でのことや、避けていたことを、本当は謝りたかった。
なのに、声が出ない。足を、踏み出せない。
また、失敗したら・・・
"俺のこと、嫌いだろう?・・・わかってる"
"ごめんな、A"
また誰かにあんな顔をさせてしまったら、私はどうしたらいい?
あの時と同じ失敗を繰り返すのは、もう嫌だ。
だったらこのまま、"ただのクラスメイト"に戻った方がいい。
それなら、誰も傷つかない。
・・・そうでしょ?A。
そんなこと、わかってるはず。
なのに、どうして・・・
「っ・・・、」
こんなにも、苦しくて悔しい。
できると思っていたことができなかった時と同じだ。すごく、悔しい。
こうやって人は自分を嫌いになっていくんだな、と、どこか遠いところから私を見つめる"
諏訪くんは、私とただのクラスメイトになったって、きっと変わらない。
登校したら、「おはよう」を交わして、
授業中は会話をせずに、
私は深空と
諏訪くんは他の誰かと食べる。
変わるのは、ほんの一部。普通に話すし、普通に過ごせるはずだ。
前から望んできた普通の日常を、
諏 「・・・っ二ノ瀬!!」
過ごせるのに。
なんで、戻ってきちゃうの。
・・・本当に、訳が分からない。
「・・・なんで」
かすれる声が、届いたかは分からない。けど、諏訪くんは近づいてきて、いつもの笑顔を浮かべた。
諏 「・・・友達だろ」
諏訪くんは今日もいつも通りで、私ばっかり怒って、避けて、悩んでる。
馬鹿みたいだ。もう、疲れた。
私が諏訪くんをどう思ってて、諏訪くんが私をどう思ってるのかなんて、もう考えるのは面倒だから。
「・・・友達だね」
私も結構、普通じゃない。
23話「昔々」→←21話「唐突に現れるのはヒーローでも悪役でもない」
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あかり(プロフ) - ISLAYさん» ありがとうございます!!そうなんですよー!主人公よりかわいくあれ!と思って書いております←(^^ゞ (2018年11月26日 18時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
ISLAY - 諏訪くんって、可愛いですよね。 (2018年11月26日 9時) (レス) id: a0fdea4e50 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - まひろさん» ありがとうございます^^イラスト集が完結した分、こちらの更新が亀にならないよう気をつけていく所存です!← (2018年11月24日 14時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
まひろ - とっても面白いです!!イラストが完結してしまったのは寂しいですが、小説も応援しております!!∩^ω^∩ (2018年11月24日 10時) (レス) id: 117c5ce46f (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - かぐやさん» ありがとうございます!!諏訪くん私も好きなんですよ~。ちょっと、いやかなり私の好みが組み込まれてます笑 (2018年10月28日 21時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
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