【崩れる関係】 ページ30
"願うふたり"の続編になります!
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ついに、この時が来てしまった。
覚悟はしていたつもりだった。
けど、LINEに送られてきた千尋からの言葉を見て、来た、来てしまったと思ったのは事実で。
『放課後、話がある。旧校舎の資料室に来てくれ』
いつも軽い、悪く言えばチャラい文面ばかりの千尋が、こんなメッセージを送ってきた。
これで「何の用だろう?」と首を傾げるほど、残念だが私は少女漫画系ではない。
・・・逃げる時間は、終わりだということだ。
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最後の授業が終わり、クラスのみんなは次々に席を立っていく。
テスト前のこの時期は、部活がない。
舞に「先に帰ってて」と断った私は、旧校舎へ向かうため席を立つ。
千尋の姿は、既に教室になかった。
人気のない旧校舎は、文化部の活動もない今、なんの気配もせず、静まりかえっていた。
階段を上がる。
資料室は確か2階だった。
変に指が震えた。
・・・馬鹿みたいだ。
資料室の前に立つ。ああ、やだな。緊張してんの?らしくない。
深呼吸。
・・・一息に、扉を開ける。
千 「・・・A?」
低い声が、名前を呼ぶ。
「・・・どうしたの、急に呼び出すとか。喧嘩?」
わざと明るく言ったのに、千尋の顔は苦しげに歪む。そうじゃない、A。ホントは分かってるだろ?
・・・そうだよ、分かってる。でもだからって、私にはどうすることもできない。
千 「違う。・・・話があるって、言ったろ?」
千尋の声は、低いけれど、優しい。
だけど・・・それが嫌だ。
千 「聞いてくれ、A。ずっと、黙ってきたんだ。この関係を・・・友達を続けたくて、逃げてきた。けどもう、それはやめようって決めたんだ」
千尋は強い。
私よりずっと、強い。
私はこの期に及んで、今も逃げ出したくてたまらないのに。
千 「今まで、黙っててごめん」
聞きたくない。
千 「聞いてくれ、A」
聞いたら、全部・・・
千 「好きだ」
言葉が痛い。体中が、痛い。
拒否反応を起こしているかのように、痛い。
・・・崩れる。
千 「・・・返事、聞かせてくれないか」
「・・・めて」
千 「え?」
「「やめてっっっ!!!」」
言ってしまったと、気づいた時にはもう遅い。
茫然とした千尋に、かけられる言葉はない。
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作者名:あかり | 作成日時:2018年6月28日 22時