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数十秒迷った末、電話をとってガーデニングが趣味と呟いていた従業員の連絡先を押す。
「シグマだ。
少し花の種類を見てもらいたい。今から来れるか?
───ああ、判った。
いきなり呼び出してしまって申し訳ないな」
少し申し訳なさを滲ませていったシグマに、電話先で慌てまくる気配が聞こえた。
『今すぐ参りますッ』
その言葉を終止符に電話はぶち切られた。
「…………」
シグマは無言になった。
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「………この花は、パプリカですね」
「パプリカ? あの野菜の?」
本当にすぐやってきた従業員の導き出した斜め上の答えに思わず鸚鵡返しする。
「パプリカで何か思い当たる節などはないか?」
「いえ、特に特別な意味を持つものでもありませんし………実ではなく花が送られてきているのは、花言葉という意味合いもあるかもしれませんが…」
「ほう、花言葉はなんなのだ?」
ぴたりと黙った従業員に、シグマが不信に顔を傾げる。
静かに告げた従業員に、水を打ったかのように場は静まった。
そのままシグマの顔がそのままさらに横に傾く。
さっぱりわからん。
静かに脳内でその字が明滅した。
とても関連性のあるものとは思えなかった。
「まあ悪戯の類だろうな」
「はい、その点の方が濃いかと」
「わざわざ来てくれたが無駄足だったな。忙しい所を失礼した、業務に戻ってくれ」
「失礼いたします」
部屋から出る従業員の背中を見つめながら、どうしたものかと眉を顰める。
…………まあいい。
どうせただの悪戯だ。
脳内でそう呟きながら、花を手紙の中に入れる。
そして、狙いを定めて遠くのゴミ箱に投げた。
綺麗に弧を描いてゴミ箱の中に着地する手紙に思わず笑みが溢れる。
「さて、業務に戻るとするか」
それを皮切りに、彼が椅子を立ち腕を伸ばす。
その、ほんの一瞬であった。
エントランスの方から、(空中)建物が揺れるほどの爆撃音がした。
轟音を立てて、床が斜めに傾いた。
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颯貴@東方&文スト大好き人間(プロフ) - 四葉のコトリさん» コメありがとうございます!幻想郷vsヨコハマは私の自己満妄想なので、喜んでいただけてとても嬉しいです…。稚拙な素人ではありますが、これからも読んでいただけると嬉しいです!! (2022年1月14日 19時) (レス) id: 61e081417a (このIDを非表示/違反報告)
四葉のコトリ(プロフ) - 初コメント失礼します!Pixiv見てたら見つけたので来ました!幻想郷をヨコハマが戦うなんて夢のようです!更新頑張ってください!応援しています!文章とても分かりやすいですね!長文失礼しました。 (2022年1月13日 2時) (レス) @page28 id: 9e21ae10ce (このIDを非表示/違反報告)
颯貴@東方&文スト大好き人間(プロフ) - ねこルージュさん» おk、すまねえ…。できたら教えてちょ (2021年12月19日 23時) (レス) id: 61e081417a (このIDを非表示/違反報告)
ねこルージュ - あ、ビビッドアーミーってやつやってるんだけど、その時の名前がこちらなのでyunanaからこれにかえま〜す (2021年12月19日 21時) (レス) id: f9dc735e37 (このIDを非表示/違反報告)
ねこルージュ - ありがとありがと。小説は少々お待ち下さいね〜。ツイステ六章で推しが弱るシーンを本能のままに書きなぐってるとこです…では、かけたら言うわ。 (2021年12月19日 21時) (レス) id: f9dc735e37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:颯貴@東方&文スト大好き人間 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/MizuhasiSatuki/
作成日時:2021年9月28日 19時