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「ふふっ、あははっ………これは感激ね。
私は少々、貴方を舐めてかかっていたようだわ」
笑いすぎてまなじりに出てきた涙を人差し指で掬いながら、彼女は吹っ切れた笑みを浮かべた。
「………状況を掴むのが億劫になるのですが」
「ふふっ、状況を教えられなくてごめんなさいね。今ていねいに説明してあげるわ」
「──貴方の言い方、いちいち癪に触りますね」
「褒めても何も出ないわ」
青娥は長い足を優雅に組むと、細い指をぴこんと立てた。
「貴方の言う通り、妖怪から見ても荒覇吐はいわば中級………そこらへんに蔓延る雑魚妖怪じゃないわ。
中級特有の、人のなりをとっていて妖力も高めなそこそこ地位ある妖怪と遜色のない強さよ。
妖怪は上が少なく下が多い傾向にあるから、中級といえどそれなりに地位はあるわ。
その言葉に興味深げに彼が視線を落とす。
彼なりの思案顔であった。
「えー。青娥さん、それならルーミアぐらいってことー?」
優雅に解説し出した青娥にずっとお口を閉じていたこいしが投げやりに台詞を投げた。
「いえ? 彼女よりは断然上よ。
と言っても、ルーミアはあまり実力をひけらかす様子は見られない世渡りの上手な妖怪だし、何よりここがね」
青娥はとんとんと指でこめかみを叩いた。
「強さなら美鈴ぐらいはあるんじゃない?
まあ、抑々荒覇吐と会ったことないし彼女とも最近交流ないからあまり判らないけど」
「へー」
質問をしたこいしであったが反応はなかなか塩だった。
子供らしいと言う言葉がよく似合う。
「話が逸れたわね。
今説明したように、荒覇吐は実力は私たちから見てもかなり高い。
人造だなんて信じられないぐらいにね。
だけど、それと同時に驪駒早鬼と吉弔八千慧の力も本物。
場所の関係ない環境なら、たとえタイマンでも彼女らに余裕で軍配があがるでしょう。
回りくどい言い方をしてしまったけれど、私が言いたいのはひとつ。
“力が抑えられていたのは、荒覇吐だけではなかった”…………ということ」
青娥の思わせぶりなそれに、ドストエフスキーは少し無言を貫いた。
人差し指で唇をつついて視線を斜め上に投げかけた。
すぐに視線を戻した彼は、そのまま顎に指を添え青娥と瞳を合わせた。
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颯貴@東方&文スト大好き人間(プロフ) - 四葉のコトリさん» コメありがとうございます!幻想郷vsヨコハマは私の自己満妄想なので、喜んでいただけてとても嬉しいです…。稚拙な素人ではありますが、これからも読んでいただけると嬉しいです!! (2022年1月14日 19時) (レス) id: 61e081417a (このIDを非表示/違反報告)
四葉のコトリ(プロフ) - 初コメント失礼します!Pixiv見てたら見つけたので来ました!幻想郷をヨコハマが戦うなんて夢のようです!更新頑張ってください!応援しています!文章とても分かりやすいですね!長文失礼しました。 (2022年1月13日 2時) (レス) @page28 id: 9e21ae10ce (このIDを非表示/違反報告)
颯貴@東方&文スト大好き人間(プロフ) - ねこルージュさん» おk、すまねえ…。できたら教えてちょ (2021年12月19日 23時) (レス) id: 61e081417a (このIDを非表示/違反報告)
ねこルージュ - あ、ビビッドアーミーってやつやってるんだけど、その時の名前がこちらなのでyunanaからこれにかえま〜す (2021年12月19日 21時) (レス) id: f9dc735e37 (このIDを非表示/違反報告)
ねこルージュ - ありがとありがと。小説は少々お待ち下さいね〜。ツイステ六章で推しが弱るシーンを本能のままに書きなぐってるとこです…では、かけたら言うわ。 (2021年12月19日 21時) (レス) id: f9dc735e37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:颯貴@東方&文スト大好き人間 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/MizuhasiSatuki/
作成日時:2021年9月28日 19時