【文スト×東方】第三篇 この余白はそれを書くには狭すぎる。

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青娥娘々……本名霍(かく)青娥は、マミゾウらと同じ時期に霊夢たちと矛を交えた邪仙であった。

邪仙とは、仙人と同じ技能を持ちながらも神に認められず堕とされた仙人のことである。

仙人は道教を学ぶ徒であり、人間から新しく成る種族のことだ。





彼女は道教を強く崇拝しており、道教の最終目的である“不老長寿”を手にし、実に豊聡耳神子の生きた時代、1400年以上前よりも前から今日まで生きながらえている人物である。



彼女は父が仙人を目指し山に籠ったをきっかけに、幼い頃から仙人に憧れて過ごしてきていた。

成長した彼女はその美貌さから、当時生きた古代中国の名家である霍家に嫁入りをした。



だが、彼女はそれでもなお仙人の夢を捨てきれず、毎日鬱々と過ごしていた。

ついに耐えられなくなった彼女はある日、彼女は棒切れを自分の死体に見せかけ己の死を霍家の人間へ偽装する。

そしてそのまま霍家から逃げ出し、仙人になることを決意した。




そのまま仙人の修行を重ねた青娥だったが、彼女の目的のためなら手段を厭わない性格、家族を欺くその精神が駄目だったらしく、天に認められず彼女は邪仙へと堕ちてしまった。




長い説明にはなったが、彼女は特に邪仙ということを嫌がる素振りも見せなかった。

亀の甲よりなんとかの巧、というのもあって彼女は博識であり聡明で、何を考えているのか判らず、強者を好み、常に笑みを湛(たた)えているタイプの人間であった。

何故か、幻想郷には紫といい幽香といいそういった女性が妙に多い。

今も、自分の力を見せびらかすという趣味を全うするため、彼女は強者を求め、今日も幻想郷をふらりふらりと生きている。





だが、今日の青娥の目的は自分の力を見せびらかすということではない。

自分の周りで次々と駆り出されていく仲間に話を訊き、面白そうな気配を感じどさくさに紛れてここまでやってきたのであった。












彼女はできるだけ好印象に留まるよう、穏やかな笑みを崩さず彼をじっと見つめていた。

彼は、彼女に今のところ敵対心がないと悟り柔和に微笑む。
だが、その瞳はどこまでも深くどす黒い血の色だ。





「ぼくもSól(ソール)のような貴女に会えて感激ですよ。
ぜひ今度不老長寿の秘訣を教えていただきたいところですね、娘々さん」





彼の答えに、彼女は笑顔を黒く深めた。

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