【文スト×東方】第三篇 この余白はそれを書くには狭すぎる。

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まるで夜のまやかしに呑まれてしまったかのように、盗聴器(おと)も位置情報(あしあと)も残さず、ぱたりと昼下がりのまどろみに溶けた。





一度のみならず、二度の作戦外の出来事。





これには流石に、ドストエフスキーも、天人五衰首領“神威”も問題視した。



今ドストエフスキーは鳥籠の中の鳥。
彼自身がその羽をはためかせ、戦況に一矢を報うことはできない。



彼にある存在意義はただ一つ、その頭脳のみである。


神威から託された命はただ一つ。





“原因を究明せよ”





彼は天人五衰の為に、我々の理想的な海図に字消しをかけ新たに書き込んだ人物を突き止め、駒を奪い返し復讐を果たす策を鳥籠の中で練るほかないのだ。



ドストエフスキーは、ここ数日で考えたのち一つの結論に至った。





そう、“真相は判らない”ということである。





言い換えるならば、“真相を判らせぬよう、誰か第三者によって細工が仕込まれている”。

関わっているのが異能(・・)であるのは間違いない。


ならば、小栗虫太郎のような現実改変系か、Qのような記憶操作系の異能の二択。

他にそうそう例を見ない、非常に稀有な異能だ。


稀有ならば、伝で入手している世界の異能力者リストを洗えばすぐ出てくるだろう。



一体どんな目的かは判らないが、興味本位で我々に手を出したのなら三枚おろしなどで許される所業ではない。

その事実を脳内で決定づけ、情報から推移した事実の関連性を鑑み、吟味する。

外より緩やかに時の流れる牢獄内だ。
いつもより大幅に時間をとり、数秒で結論を出した。

その他、自分の考えている予想を神威ら外の人間に伝えようと腰を上げる。





その、途端であった。





「ごきげんよう、そこの桂男さん」





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