紫夢からの目覚め ページ19
niサイド
st「貴方は、本来ならﾀﾋぬ運命だったんです。
」
後ろから、鋭い刃でひとつきで。
st「でも、貴方は助かってしまった。あの子によって、貴方は生き延びた。」
「あの子...クリス？」
st「えぇ。カイゲラス・テミル・ランルージュ、略してカステラさんのミスによって、この世界に招かれたのがあの子です。」
言いながら彼は、何処からともなく純白の薔薇を取り出した。
st「...。神様の都合で、自分が起こしてしまった問題に巻き込まれた人間は、簡単にﾀﾋなせてはいけない。」
薔薇の花弁をそっとなぞりながら、彼は話続ける。
st「だが、一度殺さなくてはならない。ねぇ、兄さん...さん。」
薔薇を片手に持ったまま、彼は懐に手を入れ、「何か」を取り出した。
そして、そのまま。
st「恨まないで下さいね。」
ﾄﾞｽｯ
「い゛っっ！？」
その「鋭い刃」で、俺の胸を貫いた。
自分から、生温かいモノが流れている。
倒れ込んだ自分の下にある水溜まりの色は、本来あるべき赤色ではなく、紫。
st「...！紫、色。成る程。これは少し...」
憎たらしい程美しい、白い髪を持ったアイツが、俺を覗きこむ。
st「このままだと貴方は、この先きっと苦悩するでしょう。」
もう片方の手に持つ純白の薔薇の花弁を、一枚一枚水溜まりに落とす。
st「僕は、人が傷つくのは余り好きじゃないんです。」
嘘つけ。俺を刺した時、お前は笑っていただろう。
st「でも、それで誰か救えるなら別。」
白い花弁が、紫色に染まってゆく。
意識が、段々紫に染まって消え行く。
st「こんな手荒な方法でごめんなさい。」
...とても強い、薔薇の匂いがする。
意識が保てないくらい、クラクラする。
st「...君の未来は、きっと明るくなるよ。」
最後に聞こえた彼の声が、やけにハッキリと耳に残った。
その後に見た、痛くて苦しい夢はいつのまにか消えていて。
『おはようございます。気分はどうですか？』
俺は、仄かにする薔薇の香りと共に、朝を迎えた。
ラッキーカラー
あずきいろ
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ジョーカー - これでもう終わりなのでしょうか？ (2022年8月1日 19時) (
レス) @page22 id: 73a2cb4f86 (このIDを非表示/違反報告)
時空神(プロフ) - 100票目頂きました！！！ (2020年5月10日 17時) (レス) id: 6b77cc19b7 (このIDを非表示/違反報告)
水蛙(プロフ) - らい太郎さん» そうですね。大抵、母は強いもんです。コメントありがとうございました！ (2020年2月5日 19時) (レス) id: 126ade854b (このIDを非表示/違反報告)
水蛙(プロフ) - どこまでもドアさん» (コメ返し遅れてしまってすいません...コメントありがとうございます。) (2020年2月5日 19時) (レス) id: 126ade854b (このIDを非表示/違反報告)
らい太郎(プロフ) - 母強し、お母さんには優しくしようと改めて思いました。とても内容が面白いです！最新頑張ってください！ (2020年2月5日 1時) (レス) id: 61d99012e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：深海の宅配便 | 作成日時：2020年1月3日 21時
