微睡み 2 (ページ4)

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黒 side

女の子が求めるお菓子を探す事も、この場から逃れる方法も分からないまま時間ばかりが経過する。

どうしよう、と迷っていると突然大きな声が聞こえてびっくりする。

《あなたうちの子になにしてるのっ？》

『…えっ』

《やだ、不審者じゃないの！？》

〈ちがうよ、お母さん。お兄さんは一緒にお菓子を探してくれて…〉

《うちの子にお菓子買ってあげるとかなんとか言って誘惑したんでしょ。そうなんでしょ。》

《なんとか言ったらどうなの？》

早口で流れるように話される言葉。分からない、分からない。

『……っぁ、と、』

周りに人も集まってきて、頭の中がかき回されて、怖い。

何か言わなきゃいけないのに、僕の空っぽの脳みそからは何も出てこなかった。

《ちょっと、黙ってたら良いと思ってるの？そんな歳にもなって。》

『……っ』

1つも頭を通過しない、ただ一方的に投げつけられる言葉は僕にとって1番の恐怖だった。

『…うぅっ』

もう反射的に耳を塞いでその場に蹲った。

やめて、もう聞きたくない。

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