カラフル (ページ7)

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侑李side

お昼の時間になっても、まだどこか落ち着かないにーちゃん。

流石に見ていられなくなって、気分転換に洋服を着替えさせる事にした。

クローゼットを開けると、にーちゃんの手によって作られたアート作品がお出迎え。

にーちゃんは体温の感覚が鈍いのか、夏でも構わず長袖着用。

手が袖に隠れるのが好きみたいで、とりあえず着せると9割型おばけになってる。

周りは危ないよーと注意してはみるけど、本人は知ったこっちゃないって顔してる。

そして、特に好きなのはセーター生地。でも買った途端に容赦なく網目に手を突っ込み、ダメージデザインに早変わり。

時には袖を引きちぎってベストになっているものも。

ロンTとセーターの重ね着が大抵のにーちゃんスタイル。

そんなこんなで芸術的作品に生まれ変わりを遂げたなんともユニークな洋服がうちのクローゼットには並んでるって訳。

侑李「にーちゃん、どれ着るの〜」

「これ？あ…こっちは？」

とりあえずお気に入りのセーターを取り出して目の前に出すけど、ふいっと顔を背けられる。

侑李「えー、ちがうの？」

すると、にーちゃんは洗面所へと歩いていき洗濯機の前に座り込んだ。

ぐるぐると回転するその前で中を覗き込んでから、ばんばんっとドアを叩く。

慧「……あー！」

侑李「にーちゃん、それはお洗濯中。こっちにかっこいいのまだあるじゃん。おいで？」

うっ……でた、にーちゃんの潤ませ攻撃。

眉を下げて悲しそうな顔するけど、だってまだそれびしょびしょだからさ。

今洗濯中のニットはにーちゃんの1番のお気に入り。でも昨日も機嫌が悪くなった時に着せてしまったんだ。

侑李「明日着られるよ。だから今日は他の着よう？」

慧「……っ、んぅ〜っ、」

侑李「ごめん…にーちゃん。」

お洋服交換で心機一転！！作戦は成功どころか、更に兄のパニックを増進させる事に繋がってしまった。

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