にじいろ ページ6
侑李side
今日は朝から雨がぽつりぽつりと降っている。
最近毎日ずっとこんな空模様で、にーちゃんが好きな透き通ったような青い空は久しくお目見えしていない。
じめじめとした空気に比例するように気持ちまでどんよりしてしまう。
それはにーちゃんも例に漏れず。
侑李「にーちゃーん、ご飯は座って食べるんでしょ」
この重苦しい湿気ににーちゃんも我慢の限界なのか、朝からずっと多動が出ている。
手当たり次第ちぎった食パンを両手に持ちながら、ダイニングテーブルとリビングの窓の間を行ったり来たり。
侑李「あぁ…ぽろぽろ落としてるし、」
ヘンゼルとグレーテルも驚くほどの仕事っぷりです、にーちゃん…笑
指で潰されてぺたんこになったパンたちによって作られた道標は僕が回収。
侑李「わかったわかった。もうおしまいね。手だけ拭くよ。」
気持ちが落ち着かないのかご飯もままならないにーちゃんの手から細々としたパンを取って、ウェットティッシュで指を綺麗に。
慧「…んんんっ……ん、」
侑李「待って待って、今もう終わるから!」
僕の手を振り切って動き出そうとするにーちゃんをなんとか繋ぎ止めて任務完了。
その後もリビングをずっと1人でぐるぐるしている。
大好きなご飯も手につかないくらいだから、凄く不安定なんだな。
歩いて、窓側に行き、しゃがんだと思えばまた立って歩き出す。
顔の横でひらひらと指を動かすのはにーちゃんの癖。
母が言うには、僕が生まれる前からやっている仕草みたい。
ピアノを弾くみたいにパラパラと指を動かすもんだから、もしかして…と一度教室に行かせたみたいだけど、集中力皆無なにーちゃんは10分もしないうちにリタイアだったらしい。笑
だから、その動きになんの意味があるのかは分からないけど、そんな仕草も可愛いと思ってしまう僕は相当兄が好きなんだと思う。
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作者名:あむ | 作成日時:2021年9月1日 13時