微睡み (ページ37)

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あなた side

お味噌汁が温め終わっても、大我くんが来る様子が無い。

トイレはデリケートな部分だし、大我くんは〝自立したい〟って気持ちが強いみたいで昔から身の回りのことはなんでもスムーズにこなしている姿は目にしてきた。

けれど、やっぱり家に帰ってきた時のいつもと違う雰囲気が心のどこかに引っかかってて。

そっと廊下に足を踏み出した時だった。

思わず肩が震えるくらい大きな物音がトイレの方から聞こえて、心臓がどくりと波打つ。

「…大我くん？どうしたの？大丈夫？」

返事がなくて、また心臓の鼓動のスピードが上がった。

「大我くんっ？きこえてる、？あけるよ！？」

意を決して扉を開く。便器と車椅子のちょうど間に大我くんはぐったりと横たわっていた。

「大我くん！？大我くん！！」

彼にぴとりと触れると、手のひらから伝わる熱。

『…ぅっ、…はぁっ……ぅう』

「…酷い熱っ、」

彼から吐き出される息は荒くて、とっても熱い。

こんな姿見たことないってくらい、苦しそうに顔を歪めて酸素を求めている大我くん。

『はぁっ…んぅ……はっ……』

さっき元気がなかったのも、ずっと具合が悪かったからかもしれない。

いつもと違うことなんて、私が1番分かってたのに。

膝は笑ってるし、手も震えて、汗も顳顬を伝う。

でも彼を失う方がもっともっと怖いから。

私は迷う事なく、救急車を呼んだ。

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