好きと気付いたバレー馬鹿【木兎光太郎】 (ページ23)

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23、合宿⑧ ページ23

「あの人って、木兎さんの彼女なのかな？」

「あの人って言うな。AAさんだ」

「雑誌とかテレビで見た事あるから分かってるし！」

日向と影山が砂を懸命に掘りながら、海で浮いている木兎とAを見る。

「確かWSなんだよな？」

「そうだ。高校No.1WS」

「高校、No.1……すげーな影山！！」

「あぁ。一度でいいから、俺のトスを打って欲しい」

「別に俺が打ってるからいいだろ！」

「お前とは比べ物にならない位、AAさんはすげぇんだよ！」

「わ、分かってるけどさ」

素晴らしく熱く語っている影山に、日向は少々引き気味だ。

「お前、AAさんのプレー見た事ねーだろ」

「み、見た事ねぇ」

「なら分かってるって言うなボケ！あの方のプレーは観客は当然、相手チームをも魅了されるんだぞ？！予測できないプレーに、周りは期待の渦に巻き込まれる……」

「お、おう……取り敢えずすげぇんだな、」

影山がこれ程までにペラペラと口を動かす為、日向は付いていくのに精一杯だ。
加えてAの事を必ずと言って良い程フルネーム＋さんで呼び、あの方とまで言う影山。
日向にしたら困惑するばかりだ。

「そんなに凄いものでもないわよ」

「ただの可愛い後輩ちゃんだよねー」

二人はびくりと肩を震わすと、恐る恐る後ろを振り返る。

「そんな怯えないでよwただの先輩ちゃんだよ～」

「やめなさい砂。それが怯えの原因よ」

「す、砂上美波さんとA岬さん！」

「あ、テレビとかで見る人だ」

「ボケ日向！砂上美波さんとA岬さんだろーが！」

後ろを見ると、岬と砂上がビキニ姿で立っていた。

「いや～林さんが水着貸し出ししてくれて良かったね」

「ええ。後でまた礼を言いに行くわよ」

「はいよー」

二人は呑気に話しているが、日向は大変である。
先程影山からAの説明をされたが、次に岬と砂上の説明をされる。
理解が追い付かず、必死に名前だけは覚えようと考えている日向であった。

「日向聞いてんのかボケ！」

だが、影山にはお見通しだったらしい。