3、彼氏 ページ3
「ずっとAの事好きだった。付き合ってください」
「別にいいけど、バレー忙しいから付き合ってもつまんないと思うよ?」
「それでもいいから!」
「ならいいけど……」
同じクラスの男子からの告白を、Aは難なく承知する。
だが最後の顔は不安そうだった。
理由は簡単。バレーの邪魔をされないか不安なのである。
今まで何人も付き合ってきたが、誰もバレーに対して理解がなかった。
Aの場合、バレーはたかが部活ではない。
生きがいなのだ。
「A、また付き合ったの?」
彼氏となった男子と分かれて、部活へ向かう途中。赤葦と遭遇した。
ほんの数分前だが、もう噂は広まっているらしい。
流石モテる女は違うと言うべきか。
「夏目と付き合ったよ。たしか英語得意だったよね?教えてもらおー」
「……また木兎さんに怒られても知らないよ?俺はその件に関しては助けないからね」
Aが再び歩き出した時、赤葦が鋭く言い放つ。
あんな木兎でも怒る時は怒る。それは赤葦も同じだ。
「Aはもう少し自分を大切にした方がいいよ」
「大切にしてるよ。もう世界一大切w」
そう半分ふざけながら返事をすると、今度こそ赤葦の横を通り過ぎた。
「じゃ、また明日ねー」
手を振りながらグランドへと歩いて行くAの後ろ姿を、赤葦は少し怒りを込めた瞳で見つめた。
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作者名:もやし | 作成日時:2020年10月22日 23時