好きと気付いたバレー馬鹿【木兎光太郎】 (ページ41)

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41、ファンクラブページ41

「Aってばずるいよねー」

「え、何が？」

J Kの昼休みは恋バナに花が咲く。
購買で買った肉巻きおにぎりを頬張りながら、阿崎の言葉に首を傾げる。

「何がってあんたの彼氏に決まってるでしょーが」

「夏目が何かずるい事したの？」

「いや夏目だけではない。Aもずるい事してる」

「私も？！」

阿崎が何度も頷くと、廊下側の席で男子達と昼食を取っている夏目とAを見比べる。

「夏目ってファンクラブあるの知ってる？」

「あー京ちゃんもあるよね」

「そうそう。ウチの学年の女子は、大抵赤葦ファンか夏目ファンに別れるからね。そこの対立は過激よー？」

「へぇ。やっぱ京ちゃんと夏目は凄いね」

あまり関心の薄いAに嫌気がさしたのか、阿崎の口は止まらなくなる。

「そんな凄い夏目を彼氏にしたあんたも凄い。あとAは夏目ファンクラブの女子にも認められてるし。今なんて、学校一お似合いカップルとかで噂が広まるわ広まるわ」

早口で話す為、Aは聞き取ろうと必死に脳を回転させている。

「それに赤葦のイトコって。……イトコって何？！何その胸キュンポジション！しかもウチの女バレのエースで副主将？！ウチの女バレは強いんだよ？！強豪だよ？！」

それでも構わず阿崎は口を動かす。
遂にAは肉巻きおにぎりを食べるのを辞め、阿崎の話に全神経を巡らす事になった。

「それで頭いいって何事？！部活で忙しい癖にいつ勉強してるの？！英語苦手とか言いつつ赤点は絶対ないよね？！何気赤点回避してるよね？！」

「ちょ、柚李落ち着いて？もう私、柚李が何言ってんのかも何言いたいのかも分かんないよ」

困ったように頬をかくAを見て、流石の阿崎も落ち着いたのか息を整えた。

「いやごめん。興奮しすぎたわ」

「うん、しすぎ」

「とりまさ、ファンクラブを持ってる程人気な二人との関係がずるいって事よ。最後の方のはただの妬みだから気にしないで～」

「妬まないでよw」

そんなにずるい事なのかともう一度考えたが、よく分からないものは分からない。
Aはまた肉巻きおにぎりに手をつけた。

「本当Aさんって肉巻きおにぎり好きだよな！」

「うんうん！頬張ってるの可愛い！」

「夏目ともお似合いカップルすぎる」

「流石私達の夏目君！見る目あるわ」

唯一赤葦と夏目のファン達が一喜一憂する場面がある。
それはAウォッチングの時だけだ。