好きと気付いたバレー馬鹿【木兎光太郎】 (ページ32)

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32、遊園地ページ32

「またジェットコースターですか？」

「おう！次は水が出るやつに乗るぞ！」

子供の様にはしゃいでいる木兎。
いや、訂正があった。

「木兎先輩って本当子供みたいですよね」

いつも子供の様にはしゃいでいる。

何故Aが木兎と遊園地に来ているのか。これには複雑な訳がある。とも言いたいが、これと言って理由はない。
ただたんに木兎が、商店街のクジでペアチケットを当てただけだ。

「何で京ちゃんと行かなかったんですか？」

「んー普通にAと行きたかったから！」

こんな事を平然と言える男子。一般的なら惚れてしまうだろう。
しかし木兎だ。性格がとてつもなくあれである。
惚れ様にも惚れならぬのだ。

「でもこれってデートですよね？」

「デートなのか？」

「多分デートですよ。つまり、」

「つまり……？」

分かっていない木兎に、Aはストレートに伝える。

「私、浮気中ですね」

「……っは！！！」

やっと気付いた木兎。遅すぎると言いたい所だが考えて欲しい。
AもAと言う事を。
浮気と分かっていながら、木兎からの誘いを断らなかった。
別にこれを浮気とは言わぬと人もいるだろう。しかし本人がそう思っている以上は浮気なのだ。

「どーするんだよA？！」

「……どうしましょう」

「え？！じゃあ俺不倫相手？！」

「そうなりますね」

いやそうはならぬ。あくまでも浮気相手だ。

「ねぇA」

「どうしたんですか？、」

すると、木兎はバレーをしている時の様な顔付きになった。
突然な事で、Aも思わず身構える。

「このまま俺達付き合わない？」

いきなりの言葉に沈黙が走る。
Aはその意味を理解するのにしばらく掛かった。

「な、何で急に」

日頃から様々な男に告白されているAだが、木兎からこんな事を言われるとは思ってなかったのだろう。

「俺、Aが他の奴と付き合ってるの嫌だ。Aの特別は俺がいい」

これはつまりどう言う意味なのか。
Aは混乱して頭が回らなくなっていた。

「……ごめん！やっぱ今の忘れて！」

「……木兎先輩。一回召されてください」

「ちょ、A酷くない？！」

これは木兎がAの事を好きと言う事で良いのか。A自身、そんな事を考えてしまった。
だが木兎、実際はそうでもないらしい。ただ気に食わなかっただけな様。

一体それはいつまでの話だろうか。