12、タオル ページ12
Aからもらったタオルを抱え、急いで部室へ向かった木兎。
その顔はとてつもなくにやけている。
「明日から使おーとっ!あと赤葦にも自慢しよ!」
自分のロッカーを開け、バッグを取り出す。
男バレの部室は、汚いがそれ程まで汚い訳ではない。
流石にやばいと思う所があれば、赤葦が何だかんだ言って掃除をしてくれる。
だが赤葦でも、個人のロッカーまでは開けない。つまりは木兎のロッカー、及び他の部員のロッカーは掃除されていない。
こうしてロッカーから物が溢れ出し、床へと散らかっていくのだ。
「……そーいや俺、先週タオル忘れたんだった」
まぁ言わずとも分かるが、主犯はこいつである。
先週のタオル何ぞ、臭くて触りたくもない。だが木兎は、ロッカーを漁り出した。
「あっ!なくしたと思ってた漫画はっけーん!」
そんなにこのロッカーは収納ペースがある訳ではないが、次々と物が出てくる。
しまいにはこれ、
「釘?!危ねーな」
釘には本人も驚いた様。
「あ、これ拾ったから入れといたんだった」
おかしい。拾った物を部室のロッカーにいるのはおかしい。そして釘を拾うのもおかしい。普通は拾わぬ。
「こっちにも釘が!……ってこれ、なかなか取れねーな」
今度はロッカーの横に刺さっている釘を見つけたらしい。気付けばロッカーの上にも下にも、扉にも様々な所に釘が刺さっている。
「釘って打つのは楽だけど、抜くのって大変だよなぁ」
と、独り言を呟きながら、一本一本釘を抜いていく。
そこで事件は起きた。
「……あぁーもうっ!何だよこの釘!」
最後の一本が全然抜けない。試行錯誤するも、上手く抜ける事はなかった。
そう言う場合、何か道具を使うか諦めるかの二択である。
しかし木兎だ。馬鹿な木兎だ。
「ぬーけーろーぉ!!」
強引に引っ張る事しか頭になかった。
「ぬーけーっ!!……いったぁぁ!」
思い切り体重をかけて引いた為、釘は抜けたが木兎ごと後ろに倒れ込んでしまった。
その拍子で近くのベンチをひっくり返し、Aからもらったタオルを吹き飛ばした。
「やべっ」
急いでタオルを拾いあげると、何かが切れる音がした。
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作者名:もやし | 作成日時:2020年10月22日 23時