女装男子キタヤマ-３

１「束の間の幸せ」 ページ18

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「……ひろ、？」



北「…おう。はよ」



「……はよ、」



北「目、覚めてよかった。じゃ、」



「……え、ちょ、待って」















君の前から姿を消すって言ったのに
きちんと姿を消せない僕はきっと半透明

他の誰かの隣に居場所を見つければ
ちゃんと消えられるはずなんだよ

君はきっと優しすぎて
僕はきっとそれを望みすぎて

もう顔を見たくないと思うから形も
残らぬように



君の前から姿を消すって言ったのに
君の番号を消せない僕はきっと半透明

他の誰かの隣に居場所を見つければ
ちゃんと消えられるはずなんだよ







なんて、歌を思い出した。



俺、そのままだな。









「私、その歌知ってるよ」



北「………え？」



「でも、続きがある」









どうして君は嫌いだと
もう好きじゃないと
きちんととどめをさして
出て行ってくれなかったの

だってそうだろう
終わってもいないことだけは
忘れられるはずがない









「私、すきって言っただけ」



北「………」



「ひろも、すきって言っただけ」



北「………」



「お互い嫌いなんて言ってないんだから忘れられるはずないじゃない」



北「A…、？」



「なんか、話したら眠くなっちゃった。寝てもいい？」



北「ちょっと待て、それ、どういうこ…」









俺の呼びかけを最後まで聞かずに
寝てしまったA。



どんだけ眠かったんだよ。



起きたら問いただすからな。



って、思ってても


Aが目覚めた嬉しさで口角が
上がるのを隠すことはできなかった。







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