女装男子キタヤマ-３

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「あっぶねー！」


「こんな遅くまで見舞いとか尊敬」


「な！」


「おう。はい、Aちゃん。新しいお花だよ」









ありがとう。


二階堂くんと、千賀くん。


前は違う呼び方をしていたような気がするけど、なんだったっけ。


まあ、いいや。


このふたりが毎日お花を替えに持って来てくれる。


一日でお別れのお花。


匂いしか伝わってこないからどんな花かわからないのが残念。









ニ「毎日来てるよな、あいつ」


千「俺らもだけどね」


ニ「好きでやってるからね！」


千「しっ。今面会時間外なんだから」









そう。


このふたりは誰にも会わないように
いつも面会時間外に来てくれる。


だから誰もお花を持って来てくれるこのふたりのことを知らないんだ。









ニ「はっ、あっ！今、手動いた！」


千「マジで！」


ニ「せ、せんせー！！！」









バタバタと足音が遠ざかる。





その数分後、ギシッと椅子が鳴った。


誰だろう。


あのふたりはそーっと座るから
意外にも音は出さない。


たまちゃん？いや、帰ったし。


ひろも帰ったし。


横尾さんもたまにしか来ないし。









「ひーめ」









私のことをこんな呼び名で呼ぶのは



キングしか、いない。

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