女装男子キタヤマ-３

５ ページ11

＊＊＊＊＊＊＊






玉「A…、」









こんな格好じゃ、心配されると思って



ICUの中には入らずに外からAを見つめる



まだ寝てるみたい



頭にはぐるぐると包帯が巻かれてて



口にはドラマで見慣れた人工呼吸器



横には大きな画面に心電図が映し出されている









玉「ごめんね…俺がついてけばよかったのに…」









北「お前のせいじゃない」



玉「みつ…」



北「俺のせいなんだよ。美野里と関わり持ったのもこんな事故が起きたのも」



玉「違う。事故は美野里って奴のせいでみつは悪くないよ」



北「藤ヶ谷から聞いたか？記憶のこと」



玉「きおく？」



北「頭、すげー強く打ったらしいんだ。記憶が飛んでるかもしれねえって」



玉「そんな…」









まだ目を覚まさないのにどうして…



記憶まで消えるってなに？



俺、どうかしそうだ。



美野里って奴を、ほんとに憎んでる



今すぐ殺めたい。









北「でもな、たま。お前はだめだ」



玉「は…？」



北「美野里を苦しめるのはお前じゃない。罪を犯 した奴を殺して楽にさせちゃいけないんだ」



玉「じゃあなにすんの？」



北「美野里は多分、俺らの前にはもう現れない」









みつが、Aを見つめながら俺とは目を合わさずに話し続ける。



美野里って奴について、よくわかんない



俺らの前にはもう現れないって



どういうこと？



一生牢屋の中ってこと？



それとも、









玉「みつ、なに考えてんの？」



北「早く目ぇ覚まさねえかな」



玉「みつ…？」



北「美野里は、警察がちゃんと罰してくれるから」









みつは、力ない笑顔で帰った。

１「あの…ですね、」→←４

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す