桜と共に消えた君。 (ページ10)

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ガラッ

「あ、あの！」

「話は終わったのでもう入られて大丈夫ですよ。」

「はい。」

「では。」

コンコン

「おばさん？」

「玄樹くん。ごめんね？…。あの、何から話せばいいか。」

本当は全部聞き出そうと思っただけどよく見るとおばさんはやつれていて元気もなく、さすがにそれは良くないって思った。

「おばさん。いいよ、今はゆっくり休んで？体調、よくなさそう。」

「…。玄樹くん。ICU、行ってきてもらえないかな？私の代わりに。」

「ICU…？」

「そう。さっきの先生にはお願いしてあるから、行ってもらえない？」

「わ、わかりました。」

「ありがとう。私少し休ませてもらうね。」

「はい。」

おばさんに言われるがままに僕はICUに向かった。

「あ、あの…。」

「あぁ。先ほどの。話は聞いています。」

ICUに着くとさっきおばさんの部屋で話してた医師がいた。
僕は清潔なガウンやマスクをつけると部屋へと連れられた。

「大山さん？」

「はい…。な、なんで…？」

そこには間違いなく5年前いなくなったみゅうがいた。
少し大人になってはいるものの変わってはいない。幼い顔立ちで、ストレートで綺麗な黒色の髪の毛、透けるんじゃないかっていいぐらいの肌の白さ。僕の名前を呼ぶ声。

「みゅう…。」

「あまり長くはいることができないので時間になったらまた呼びに来ますね。大山さん、体調が少しでも悪くなったらすぐに呼んでください。」

「はい。」

さっきから僕はもうなにが起こってるのかわからなかった。ただわかるのは、いなくなったはずのみゅうがここにいるといいことだけ。

僕がなにも声を出さないでいると。

「久しぶり、だね？…ごめん。」

「…。久しぶり。謝んなよ。」

久しぶりだというのに僕はそんな言葉しか出なかった。本当は心配でたまらなかったのに。会いたくて仕方がなかったのに。

そんなことを考えてた時、僕は信じられない現実を聞いた。

「私さ、歩けなくなったんだ。」

「…え？歩けないって？どうゆうこと？5年前になにがあったの？…ねぇ、みゅう！教えてよ！ねぇ！」

「玄樹…。落ち着いて？ここ病院。」

「ご、ごめん。」

「いや。でも謝らなきゃいけないのは私だね。ごめんね玄樹。」

そうみゅうは笑顔で僕を見たんだ。

切なそうな。今にも消えそうな笑顔で。