柱最強の雪柱は炎柱の前では最弱のようです

目を開けば ページ39

Aside



ゆらゆら揺れる
それはまるで船の上にでもいるかのようで
けれど少し暖かくて心地いい
私はまだこの温もりの中にいたい
いや、ずっとこのままだっていいと思う



けど、そんな訳には行かない
そういいきかせて目を開ければ私の体は浮いていた
いや、正しくいえば抱き抱えられている


『え？』


｢目が覚めたか？｣




私を抱き抱える主を見ればそれは煉獄さんだった
赤い瞳が私を貫く
けど、声は優しくて心地よくて…………




『私、どうして……』


｢君が泣いていた……
あそこにいれば人に見られるし、それは君も嫌だろうと思い移動していたが よもや、余計なお世話だっただろうか？｣




それを言われて思い出した
そうだった、自分が不甲斐なくて煉獄さんから逃げ出して、幸人さんの声が聞こえた気がして…………
けど、それはただの空耳で羽織が暖かくて眠ってしまったんだ



『あの、ごめんなさい』



｢何がだ？｣



『任務、放り出してしまって
それに迷惑までかけてしまって…………』




本当に柱失格だ
もし、ほかの隊士の前だったらその人たちはきっと全滅だ




｢なんだ、そんなことか
気にする事はない
それよりも君は大丈夫なのか？｣





そんなことより、か………
煉獄さんは凄いなぁ
だってこれをそんなことって言えるんだもの





『はい、ありがとうございます……』



｢A｣



『はい』



｢いや、やはりなんでもない
藤の花の家へ急ごう｣




そう言って煉獄さんは私を抱えたまま
朝日の昇町を後にした

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