動きだす悪魔たち ページ45
Aは、この数日何度も往復したその道を歩いていた。
蝶ネクタイ型変声機の改造が終わり、赤井に届けに行ったのだ。
平井家の門の前で、私は大きく息を吐いた。
今は手を組んでいるとはいえ、中学の頃はほぼ冷戦のような状態だった奴の家。そんなところに訪ねていくんだ、緊張するに決まっている。というか嫌々半分だ。
「よし、行くか」
玄関のチャイムを押そうとした、その時。
レラレ
唐突に、スマホの着信音がした。
唾を飲み込んで、恐る恐るカバンから取り出す。
三秒後、私は迷わずチャイムを押した。
『某科学少女との遭遇』
それは、救出者が来訪した時の合図。
灰原哀がウチに来たという、夏来からのメッセージ。
Aが家を出る少し前、コナンも月読家を出た。
途中通りかかった公園の満開の桜は、少しばかり散り始めていた。
大量の漫画が入った紙袋を抱えて、コナンは歩く。
「確かここを曲がると……あった、彩さんの家だ」
チャイムを押そうと手を伸ばした時。
玄関の引き戸がガラッと開き、彩が飛び出してきた。
「……コナン君！！哀ちゃん、来たって！」
興奮したように、手に持っていたスマホの画面を見せる。
やっぱり灰原か……！
「彩さん、これ、借りてた漫画！ 俺はすぐAさんの家に戻るから」
コナンは押し付けるように紙袋を渡すと、
「彩さんは赤井さん達のところに行って！もしかしたらAさんも向かってるかもしれない！」
変声機が間に合わなければ、作戦は失敗する！
間に合っていてくれよ、Aさん……！
果たして、コナンが月読家に着くと、灰原がソファに座っていた。
Aはいない。夏来の様子を見る限り、どうやらもう家を出ていたらしい。
間に合った……！
コナンは平生を装って、灰原に接する。
いつものように、自身たっぷりにニヤリと笑って。
夏来のメッセージから1時間後。平井家から赤井秀一は消えた。
「化けたねえ……」
沖矢昴となったその顔を見て、Aは思わずもらす。
それもそのはず、メイク特有の不自然さも、ウイッグの偽物感も感じられないのだ。
「これなら大丈夫そうですね」
鏡で最終チェックしながら、沖矢の声で言う赤井。
「変声機も……不具合は無い」
平井は、その変身ぶりに絶句していた。
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桜 - これめっちゃ現実性あるねぇ (2020年8月30日 20時) (
レス) id: 44f3b52daa (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - コナン側、主人公側、互いの立場から来る優位性のようなものがなく、また主人公の心情や周りとの関係性の変化などとても読み応えのあるものでした。読後感はどこか物悲しく、しかし確実に続編への布石を……！このあと続編の方を拝読します！ありがとうございました！ (2020年8月18日 0時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - サブタイトルでちょっと笑って読み始めたのですが、読み進めるうちにどんどん引き込まれて行きました。何より他の二次創作との差を感じたのが、主人公たちのいる世界が「コナン」側の世界とまるで対等であるように描かれていると感じた所です。 (2020年8月18日 0時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
綺月(プロフ) - ナミさん» 最後まで読んでいただきありがとうございます。続きは……もう少しお待ちください！ 作者としても、チーム『マクスウェルの悪魔』には、残された沢山の謎を解決してもらいたいですからね笑 いつも、感想と励ましの言葉をいただけて、とても嬉しかったです。 (2020年6月30日 22時) (レス) id: a7057fda4f (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - 最終回とっても面白かったです。組織の研究所みたいなことを言っていたので今度はトリップかなと続きが楽しみです。続きがどうなるのか？それとも無しなのか？出来れば続いて欲しいです。最後にお疲れ様でした。 (2020年6月29日 4時) (レス) id: 134760d3d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綺月 | 作成日時：2020年5月9日 0時
