二次元からの救世主 ページ44
「私のお姉ちゃんが、公園でコナン君を見つけて、連れてきたんだよ。一人じゃ危ないから、ってね」
今日は、少し歩くと汗ばむくらい暖かかった。
急ぎ足できたのか、哀ちゃんもちょっと、暑そうだ。
ソファに座らせて、冷蔵庫の冷たい麦茶を二人分、淹れる。
「……それ、誘拐って言わない？」
彼女は、警戒を解かずに言った。麦茶にはまだ手をつけてない。
まあ、そうだよね……
「はは、話だけ聞いたら私もそう思うけどね……お姉ちゃんに言わせれば、『警察署を嫌がったのは彼だから』って」
息継ぎついでに一口、お茶を飲む。
彼なら、そうでしょうわね……と呆れ気味に、哀ちゃんは呟いた。
「コナン君なら、今、外に行ってる。しばらくしたら戻ってくると思うから、ここで待ってなよ。事情は全部知ってるから」
「全部……？」
首を傾げる哀ちゃんに、私は漫画を一冊渡す。
それは、『コナン』の灰原哀初登場巻──
哀ちゃんはパラパラとページをめくり、目を丸くする。
「その漫画は、この世界では超有名作品──哀ちゃんやコナン君の世界を、私たちは知ってるんだよ」
息を呑む音が聞こえる気がした。
「一つ、聞きたいんだけど……」
「何？」
哀ちゃんは静かに口を開いた。わずかに残る、疑念の目。
「この世界 ── 昼の公園に
窓の外を見て、私を見て、不審げに聞いた。
ああ！ だから玄関の靴をじっと見てたんだ。運動靴が仕舞い込まれ、サンダルが何足も出ていたたから。
「最近、こっちでも色々と異常事態が続いて……外出自粛が呼びかけられているからね。あと、学校は臨時休業中。一ヶ月以上ずっとね」
私が答えると、哀ちゃんは難しい顔をする。
「まさか、江戸川君の転移の影響……！？」
まさか、そんなわけ……でも私には、否定できる材料がない。
「それは違うぜ、灰原」
「江戸川君！」
そのとき、玄関の扉が開いた。ニヤリという得意顔が、問いに答える彼の自信を物語っている。
哀ちゃんは「江戸川君！」と、驚きの声を上げた。
「この世界に転移の原因はなさそうだからな。俺がこっちに来たのも、博士の発明品のせいみたいだし」
作戦遂行中のハンドサイン。どうやら彩さんのところで連絡を見て、急いで戻ってきたらしい。
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桜 - これめっちゃ現実性あるねぇ (2020年8月30日 20時) (
レス) id: 44f3b52daa (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - コナン側、主人公側、互いの立場から来る優位性のようなものがなく、また主人公の心情や周りとの関係性の変化などとても読み応えのあるものでした。読後感はどこか物悲しく、しかし確実に続編への布石を……！このあと続編の方を拝読します！ありがとうございました！ (2020年8月18日 0時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - サブタイトルでちょっと笑って読み始めたのですが、読み進めるうちにどんどん引き込まれて行きました。何より他の二次創作との差を感じたのが、主人公たちのいる世界が「コナン」側の世界とまるで対等であるように描かれていると感じた所です。 (2020年8月18日 0時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
綺月(プロフ) - ナミさん» 最後まで読んでいただきありがとうございます。続きは……もう少しお待ちください！ 作者としても、チーム『マクスウェルの悪魔』には、残された沢山の謎を解決してもらいたいですからね笑 いつも、感想と励ましの言葉をいただけて、とても嬉しかったです。 (2020年6月30日 22時) (レス) id: a7057fda4f (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - 最終回とっても面白かったです。組織の研究所みたいなことを言っていたので今度はトリップかなと続きが楽しみです。続きがどうなるのか？それとも無しなのか？出来れば続いて欲しいです。最後にお疲れ様でした。 (2020年6月29日 4時) (レス) id: 134760d3d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綺月 | 作成日時：2020年5月9日 0時
