某死神少年との遭遇 〜外出は自粛してもらおうか〜【名探偵コナン】

外出自粛要請だよ、コナン君 ページ12

漫画数巻と、あるもの(・・・・)を彩に借りて、私たちは家に帰った。



「結構すぐ帰るんだね。久しぶりに会ったみたいだし、僕てっきりお家に上がらせてもらうのかと思っちゃった！」

　なんでコナン口調？

　あ、まだ外だからか。外で小学一年生が新一口調だったら違和感あるもんね！


「そうか、まだ君は知らなかったね。うーん、なんで言えばいいのか……まあ、『事実は小説より奇なり』って感じ？」

「どういう感じだよ……」


　簡単に言おうとすると、フィクションみたいになっちゃうんだよな〜今のこの世界。

　マジで『物語の中でしか語られてこなかったような世界観』というか……



「今、不用意な外出はできないんだよ」


「……それって、平日なのにAさんや夏来さん、それにさっき会った彩さんが学校に行ってないのと関係ある？」


「……うん、あるよ。一ヶ月前、日本全土の小、中、高校が首相の要請で臨時休業となった」

　歩くのをやめずに、小声で話す。
　もしも誰かに聞かれたら、厄介だからだ。


「まさか……！そんなことってありえるのか！？」

「それがあったんだよ。だから、『事実は小説より奇なり』」


　その原因は、数ヶ月前。海外で、新たなウイルス感染症が発見されたこと。

　新型のウイルスは瞬く間に世界中に広がった。
　WHO(世界保健機関)がパンデミックを宣言したほどだ。


「そんな、嘘だろ、この現代社会で……？！」

　彼が驚くのも無理はない。
　私たちだって、三日に一回は「まさか生きてる内にこんなことが起こるなんてね」と言い合っているんだから。

　でも、これが現実だ。

「この現代社会だからだよ。この病気の恐ろしいところは、個人差だ。無症状の人から、死に至る人までいる」

「移動の長距離・高速化か……！無症状の人間が、ウイルスを運ぶ方舟となる……マジで物語(フィクション)の世界で散々使われてきたネタじゃねぇか！！」

　そのとおり。

　私は本当に、そんな状況が組み込まれた小説を読んだことがある。

　その本で、ウイルスは世界中に拡散し、全人類に感染した。ウイルスは一定の割合で活性化し、活性化したウイルスを持つ人間は子孫が残せなくなる。
　ウイルスは、世界の人口爆発を止め、人類の個体数を正常に戻す役割を持っていた。

　これが、メリーバッドエンドというのだろうか。
　読んだときは、そう考えたものだ。


　ここは、そういう世界だ。

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