検索窓
今日:31 hit、昨日:85 hit、合計:101,442 hit

絶対音感×絶対音感 ページ17

公園から帰ってきて午後四時前、まだ夕食までには時間がある。

「……暇だ」


 母さんはまだ帰ってきていないし、妹は、明日提出の宿題が終わっていないとかで部屋にこもってる。

 ちなみに妹の宿題は、クラス担任が家庭訪問ついでに取りにくるらしい。ご苦労なこった。



 リビングには、私とコナン君だけ。

 十年近く見続けているアニメの主人公に会ったら、聞きたいことも話したいこともいっぱいあるはずなのに、こんな時に限って出てこない。


 時計が鳴った。
 もう、四時になったんだ。


「エリーゼのために……でも、微妙に音が低いような……」

「そう、半音の四分の一くらいちょっとだけど、低いんだよねぇ……この時計、古いからか電池の消費で音が下がっちゃうらしいんだ」


 コナン君の呟きに、思わずそう答える。


「あれ?Aさんもわかるんだ」

「え?あ、そうか、コナン君も絶対音感持ってたんだっけ」


 ウチじゃあ、私が最初に気づく。その次に妹。
 父さんは一音ズレないと気づかないし、母さんはズレても気にしてない。

 凄いな、絶対音感って本当だったんだ。


()ってことは、Aさんも?」

「うん、多分ね。音がドレミで聞こえる」


 多分(・・)っていうのは、予防線だ。

 自信満々に「うん、そうだよ!」なんて言ってみろ。
 人間ってやつは、「じゃあこの音は?」なんていって手を叩いたりするんだから。

 わかるわけないよ。

 だって、打撃音はいろんな周波数が混じってるんだぜ?


「Aさんは、何か音楽やってるの?」

「ピアノをね。まあ、最近は耳コピとかで遊びすぎて、本業のクラッシックがおろそかになっちゃってるんだけど」

「へえ!耳コピができるんだ」

「コナン君もできると思うよ。メロディラインを右手でとって、伴奏は適当にコード。コツいるけど、慣れたら簡単だし」

「それが難しいんじゃ……」


 コナン君は、ちょっと呆れたみたいな目でこっちを見てくる。これがジト目というのだろうか?

 あ、もしかして引かれた……?
 まあ本当に、思ってるほど大したことじゃないんだけどな。


 耳コピ自体は絶対音感なくてもできるし。

 絶対音感があれば、聞き覚えのある曲をすぐ再現することも可能ってだけで。


「後で教えてあげるよ、暇だし」

 たしか工藤家ってピアノあったし、触ったことくらいあるでしょ。

絶対音感所持者の悲しみ→←彼らにとっての異世界



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (94 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
134人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- これめっちゃ現実性あるねぇ (2020年8月30日 20時) (レス) id: 44f3b52daa (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - コナン側、主人公側、互いの立場から来る優位性のようなものがなく、また主人公の心情や周りとの関係性の変化などとても読み応えのあるものでした。読後感はどこか物悲しく、しかし確実に続編への布石を……!このあと続編の方を拝読します!ありがとうございました! (2020年8月18日 0時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - サブタイトルでちょっと笑って読み始めたのですが、読み進めるうちにどんどん引き込まれて行きました。何より他の二次創作との差を感じたのが、主人公たちのいる世界が「コナン」側の世界とまるで対等であるように描かれていると感じた所です。 (2020年8月18日 0時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
綺月(プロフ) - ナミさん» 最後まで読んでいただきありがとうございます。続きは……もう少しお待ちください! 作者としても、チーム『マクスウェルの悪魔』には、残された沢山の謎を解決してもらいたいですからね笑 いつも、感想と励ましの言葉をいただけて、とても嬉しかったです。 (2020年6月30日 22時) (レス) id: a7057fda4f (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - 最終回とっても面白かったです。組織の研究所みたいなことを言っていたので今度はトリップかなと続きが楽しみです。続きがどうなるのか?それとも無しなのか?出来れば続いて欲しいです。最後にお疲れ様でした。 (2020年6月29日 4時) (レス) id: 134760d3d6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:綺月 | 作成日時:2020年5月9日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。