chapter53 ページ8
そこからはよく覚えていない。
私は意識を失ったらしく目が覚めたら病院にいた。
3日ほど眠っていたらしい。
ショックは大きかったものの特に外傷などもなかったため、早めに退院できた。
この事件がきっかけで心配した父が母と私を引き離し、今は一時帰国してそばにいてくれている。
「そういえば、A。」
「ん、なに？」
退院して2週間が経ったある日、新しい家でお父さんと2人でのんびりしていた。
しばらくどこにも行きたくない気分だ。
＿＿まぁ、会いたい人はいるんだけど。
「松田さんっていう人から＿＿＿」
その名前を聞いた途端、私は父に駆け寄った。
その手には白い手紙を持っていた。
「これ、松田さんから…？」
「あ、あぁ、入院中お前が寝てる時に来て『渡してくれ』って頼まれてな。」
『どういう関係なんだ？』と聞かれるも、適当に誤魔化しておいた。
私は自分の部屋に行き、ベッドに腰を下ろして手紙を開いた。
そこにはただ一言。
"元気でな。"
「これだけ…？」
なによ、もっとなんか書くことあるじゃん？！
というかこれだけ言うなら直接＿＿＿
あ、そうか。
私は理解した。
一言だけ書かれた手紙。
あれから1回も会ってないこと。
例の公園に行ってももういないこと。
「もう、会わないってことか。」
松田さんなりに気を使ってくれているのかもしれない。
事件のことを思い出してしまうからとか、柄にもないこと考えてくれてるのかも知れない。
けど、そんなことどうでもいい。
何より辛いのは
「＿＿松田さんに会えないことだよ、ばか。」
ヒーローぶらないでよ。
助けてそのまま去っていくだけなんて。
いつかまた、あなたに会いに行くから。
来るなって言われても。
無視されても、拒絶されても。
「ははっ 諦めの悪い女って言われるかな。」
それでも私は、
あなたのことが好きだから。
それから約1年後。
私は何気なくつけたテレビから、衝撃の言葉が聞こえてきた。
『連続爆弾事件の速報です。つい先程観覧車に設置されていた爆弾が爆発した模様です。
被害者は、爆弾の解除を行っていた警視庁捜査一課である
＿＿＿松田陣平さん、ただ1人ということです。』
その瞬間
手にしていたコップがするりと落ち、大きな音を立てて床に落ちた。
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なみだうさぎ(プロフ) - レモンさん» ありがとうございます！！更新不定期で大変申し訳ないですが、できる限り期待に応えられるよう頑張ります！！ (2018年10月14日 1時) (
レス) id: e3d8bdb6e6 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - 続編の移行おめでとうございます！私も楽しみに今後の展開待ってます。 (2018年10月13日 23時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なみだうさぎ | 作成日時：2018年7月17日 21時
