「女生徒」 1 ページ2
放課後の図書室。
昼休みはそこそこ人が来るけれど、放課後の今は、図書委員であり、部活中の私しかいない。
静かな図書室には、私が本をめくる音しか聞こえない。
静かな部屋で、たくさんの本に囲まれて、思う存分本が読めるこの時間が、一番幸せ。
「すみません、遅れました」
眼鏡はおばけ。そんなに嫌?
見えないおしゃれに気を使って、自分だけにしかわからないから、自己満足。
可愛いジャピイは可愛がるけれど、汚いカアには意地悪する。
ロココ料理って、一つの大皿にたくさんの種類の料理を盛ることだったんだ。お客さんの前では、お母さんはお母さんじゃない、ただの弱い女。
おやすみなさい。私は、王子さまのいない、シンデレラ姫。あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか? もうふたたび、お目にかかれません。
ーーー『女生徒』
パタン、とゆっくり本を閉じた。目をつむって息を吐き出す。
今日も、面白かったなあ。
「読み終わりましたか?」
急に目の前から声をかけられてびっくりした。
入ってくる音、したっけ? いつ? また目の前にいたのに気がつかなかった。
「……いつからいました?」
「一時間は前ですかね」
一時間以上。ということは、今日もずっと見られてた?
「……見てました?」
「面白かったんですね、その本。表情がくるくる変わってましたよ」
や、やっぱり見られてた。
「声、かけて下さったらよかったのに。何でずっと見てるんですか。
…………一時間も」
「せっかく楽しんでるのに、中断させたくなかったんです。
それに、飽きませんから。見ている僕も楽しいです」
にこにこ笑ってるけど、私はちっとも面白くない。
でも、中断させられるのは好きじゃないし、今読んでいたのは短編小説だから、一気に読みたかった。
先生は観察力が鋭いから、それも見抜いてるんだろうな。
それか、先生も私と同じ考えなのかも。
だから、言い返そうとも思わないけど、やっぱり見られるのは恥ずかしい。
「毎回の事なんだから、そう怒らないで下さい」
「毎回って、そんなに見てるんですか?」
「笹草さん、いつも本に夢中ですから。いくら声を掛けても気づかないでしょう?」
「先生の影が薄いからではないんですか?」
「貴女の場合は違うと思いますよ」
私が先生のことを無視したようにも取れたのに、先生は気にした様子も無くて、面白そうに笑ってる。
「……部活、始めますか」
「そうですね。始めましょうか」
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作者名:みい x他1人 | 作成日時:2017年5月25日 20時