今世もあなたの恋人になりたいのです (ページ3)

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階段から落ちたその日は私の誕生日だった。

私が今世生まれたキャンベル家は、聖29一族(確か前世の記憶では28だったような…？)のうちのひとつでブラック家に次ぐ高貴な一族であった。
そのキャンベル家の一人娘である私は、生まれた時からブラック家の嫡男であるシリウスとの婚約が決まっていた。

そして今回の私の10歳の誕生日パーティはその発表を兼ねたものだったのである。

由緒正しき一族の娘で、しかもシリウスの婚約者!
前世では血筋のことなどで大変苦労したので、なんて幸運なことだろう…！と前世の私ならそういうであろう。

しかし、問題は記憶を取り戻す前の私にある。

今世の私は、良家の一人娘として蝶よ花よと大切に育てられ、少々傲慢な子供であった。
両親は寛容だが、家自体はガチガチの純血主義であるため、私もそうであることが正しいのだと考えていた。

そうした結果、婚約者であるシリウスからはいたく嫌われているのである。

(これからどうしよ…)
私はただただ、途方もない現実に思考を放棄した。

『……………』
「どこか痛むの？大丈夫？」

黙ったままの私に母が心配そうに言った。
私がなんとかうなづくと母は「本当に良かった…」と再び私を抱きしめた。

(あぁ…)
その温もりに私は思った。

確かに私はシリウスを愛しているし、私はエラでもある。
けれど、やはり今の私はエレノアなのだ。
私はこの人達を愛している。

この人達を悲しませる訳にはいかない…
でもこのままでは私はシリウスに嫌われたままだ…

(私、どうしたらいいんだろ？)
そこで、とっくに限界を迎えていた私は、思考を遮るように再び眠りに落ちたのだった。