今世もあなたの恋人になりたいのです (ページ13)

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13 君が泣くから Sirius said ページ13

Sirius said

エラへの気持ちを自覚してから数日、俺は彼女を避けてしまっている。
彼女を目の前にすると、上手く話せなくなってしまって、心の整理がつくまでと思っていたら、何だか気まずくなってしまったのである。

今日は、約束の金曜日
今日こそは、普通に話せるようにしておきたい。

俺は意気込んで朝食の席で彼女を探したが、結局彼女は見つからなかった。
その後も学年が違えば、なかなか会うことは出来ず、そうしているうちに放課後になってしまった。

いつもの空き教室へ向かう途中、俺はどう彼女に話しかけるか、そのことで頭がいっぱいだった。

しかし思い切って開けた扉の先、彼女の顔を見た途端、そんな考えは全て吹き飛んだ。

彼女は、夕日が差し込む窓辺に腰掛けて、窓の外を眺めていた。

『シリウス、来てくれたんだね！ここ数日なんとなく避けられてる気がしたから、来てくれないかと思った…』

こちらを振り返って笑った彼女の目元は、つい先程まで泣いていたかのように腫れていた。

｢泣いてた…のか…？｣
『あぁ、やっぱり分かる？なかなか腫れが引かなくって…
見苦しくってごめんね』

明らかに無理しているのが分かる顔で笑う彼女が、
不満だった。
｢何かあったのか？｣

『あー…なんかさ…』
彼女は珍しく口ごもってから、軽い口調で言った。
『私捨てられちゃったみたい…あっ、でもちゃんと成人するまでお金と住む場所は用意してくれるみたいだし、大丈夫なんだけどね』

涙を堪えるように顔を歪めた彼女に、これ以上見ていられなくて、気づけば俺は彼女を抱きしめていた。

｢泣けよ、俺の前では我慢なんかするなよ…｣

『……弟がね、生まれたの。だから今年からもう家には帰ってくるなって。別荘のひとつを貸してやるから、そこで暮らせって。お前みたいな化け物がいると弟に悪影響だからって…今まで手紙なんか1度も送って来なかったくせに…流石に、ショックだったなぁ…』

腕の中で彼女がすすり泣く声が聞こえた。

『弟が出来たって知った時は、ちょっと期待してたんだ。ちゃんとした後継者が出来たら、私を私として見てくれるんじゃないかって…でも結局、私は邪魔者でしか無かったってことだよね。笑っちゃうよね。…お母さん、幸せそうだった。あんなにお父さんと仲悪かったのに、私がいなければ上手くいくんだなぁって思っちゃった…』

彼女は声を上げて泣いた。
それは、泣き方なんて知らないかのような、不器用な泣き方だった。