今世もあなたの恋人になりたいのです (ページ12)

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その日の夜、俺は全く眠れなかった。

早く眠らなければと思うのに、目を閉じれば浮かんでくるのは彼女のことばかりで、到底眠れる気なんてしなかった。

彼女が笑ってくれると嬉しいのも、
彼女の声が聞こえると、つい目で追ってしまうのも、
彼女のことをもっと知りたいと思うのも、
全部全部、俺が彼女を好きだったからなのか…
よく考えれば、なぜ気が付かなかったのか分からない。
彼女のことを考えると、こんなにも胸が高鳴るのに…

俺はもう何度目か分からない寝返りをうって、何とか少しでも眠ろうと試みた。

結局俺が寝付けたのは、早朝に差し掛かってからで、その日はすっかり寝過ごしてしまった。

急いで大広間へ向かうと、そこには既に朝食を食べ終えた彼女がいた。
彼女がこちらを見た瞬間、ドッと心音が早まるのを感じた。

『おはよう、シリウス』

｢お…おはよう｣

笑顔で近づいてきた彼女に、俺はつい目を逸らした。
そんな俺に、彼女は不思議そうに首を傾げた。

『シリウス、どうかした？なんだか顔色も悪いみたいだけど…』

｢っ…別に何でもない…｣

『そっか…あ、今週末の金曜日の約束、忘れないでね』
彼女は俺の反応に少し眉をひそめたが、友達の呼び声に、それだけ伝えるとすぐに行ってしまった。

｢はぁ……｣
俺は崩れ落ちるように椅子に座って、残り物のパンに手をつけた。

｢俺って今までどんな風にエラに接してたんだ？｣

｢どんな風にって…そりゃあ、エラに対する君の態度と言ったら…ゔっ、思い返しただけで胸焼けがするような甘さだったよ｣

｢ジェームズ！俺は真剣なんだ！｣

ジェームズを睨みつける俺にリーマスが紅茶を入れて、差し出してくれる。

｢まあまあ、シリウス落ちついて…シリウスはシリウスらしく、いつも通りでいたらいいと思うよ｣

リーマスの言葉に俺は頭を抱えた。

俺らしく…？それが分かれば苦労はしない。
そもそもこんなふうに悩むこと自体、俺らしくない。
今までも言い寄ってくる女は沢山いたけど、こんな気持ちになるのは初めてだ。

今まで、俺は一体どうしてエラの前で平然としていられたんだ？
昨日までの俺に問いただしたい気分だ…

結局、結論が出ないまま授業の始まる時間になり、俺たちは急いで教室へ向かった。